モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第19戦ロードン
デニー・ハムリンが今季初勝利!
エクスフィニティではカイル・ブッシュが完勝
ニューハンプシャーで行われたNASCARカップ・シリーズでは、トヨタ勢が終始首位を争い、デニー・ハムリンが今季初勝利。エクスフィニティ・シリーズでも終盤独走となったカイル・ブッシュが今季3勝目を挙げた。
Monster Energy NASCAR CUP SERIES
第19戦 Overton’s 301
開催日:7月16日
デニー・ハムリンが今季初勝利!
トヨタ・カムリは4台がトップ6フィニッシュ
7月16日(日)、米国北東部ニューハンプシャー州ロードンのニューハンプシャー・モーター・スピードウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第19戦「Overton’s 301」が開催された。
ニューハンプシャーは1990年開設と比較的新しいコース。最低2度、最大でも7度とバンク角が低いのが特徴の1マイルオーバルで、愛称は“マジック・マイル”。夏の大会に加え、“プレーオフ”の10戦にも含まれる重要なコースである。
年2戦行われるこのコースで、トヨタ勢は過去7勝。デニー・ハムリンとカイル・ブッシュが1勝ずつ(それぞれトヨタ移籍以前にも1勝ずつ)、マット・ケンゼスが3勝を挙げている。
トヨタ勢は今季ステージ勝利など速さは見せているものの、マーティン・トゥルーエクス・Jr.の3勝のみ。未勝利のカイル・ブッシュ、ハムリン、ケンゼスらの活躍に期待がかかった。
16日(日)午後3時17分に1.058マイルオーバルを75周、75周、151周の3ステージ合計301周(318.46マイル:約510km)して競われる決勝レースがスタート。
今季初のポールポジションからスタートを切ったトゥルーエクス・Jr.が首位を逃げ、その後方から3番手スタートのケンゼス、7番手スタートのカイル・ブッシュ、8番手スタートのハムリン、6番手スタートのエリック・ジョーンズらが続き12周目にはトヨタ勢がトップ4を占めることに。
しかし、35周目に出されたコンペティション・コーション(主催者によって予定され出されるコーション)からの再スタート直後、7位走行中のエリック・ジョーンズのタイヤがバースト。エリック・ジョーンズは壁にクラッシュし、レースを終えることとなってしまった。
再スタート後はトゥルーエクス・Jr.にカイル・ブッシュが2位で続き、その後方でケンゼスが激しい3位争いを展開。ステージ終盤の67周目にトラブル車両によりイエローコーションが出されるとカイル・ブッシュ、ハムリンらがピットへ向かうが、トゥルーエクス・Jr.を含む上位数台はコース上に残る選択。
残り2周での再スタートもトゥルーエクス・Jr.が決め、トゥルーエクス・Jr.は一度も首位の座を譲ること無くステージ1を制覇。シリーズ最多となる14度目のステージウィンを飾った。同じくピットに向かわなかったケンゼスが2位。カイル・ブッシュが5位、ハムリンが9位に入った。
ステージ2は、ステージ1終盤にピットに入った多くの車両がステージ間のコーションでピットインしなかったため、カイル・ブッシュが首位、ハムリンが3位で再スタート。
ピットインしたトゥルーエクス・Jr.とケンゼスは24位、25位と後方からの再スタートを強いられたが、猛烈な追い上げを開始。途中、直前の車両がスピンするアクシデントに遭遇するも、間一髪でこれを避け、さらに追い上げ。105周目には2台ともにトップ10圏内に浮上した。
首位のカイル・ブッシュは後続を大きく引き離し独走。最後には5秒近い大差をつけてステージ2を制した。その後方でのバトルを制したハムリンが2位。トゥルーエクス・Jr.、ケンゼスが6,7位で続いた。
ステージ3前のコーションでは、カイル・ブッシュがピット作業で若干のタイムロス。これで首位に立ったハムリンは再スタート直後の3ワイドバトルを制したが、トゥルーエクス・Jr.も離されず僅差の首位争い。その後方にカイル・ブッシュが続き、トヨタ・カムリのワン・ツー・スリー体勢に。
173周目にトゥルーエクス・Jr.がハムリンをかわし首位へ。182周目にはカイル・ブッシュも2位へポジションアップ。
ステージ3はイエローコーションの出ない展開となり、残り80周を切って、グリーンフラッグ下でのピットが始まるあたりで、後続に2秒以上の大差をつけて独走していたトゥルーエクス・Jr.がパンクに見舞われピットイン。
しかしその後、他の車両もグリーンフラッグ下でのピットを行ったため、トゥルーエクス・Jr.は再び首位に復帰。逆に、カイル・ブッシュはピットロードで痛恨のスピード違反。17位へと大きく後退してしまった。
その後、首位のトゥルーエクス・Jr.と2位ケンゼスとの差は5秒以上あったが、ケンゼスが猛追を見せじりじりとこの差を詰めていくと、260周目に逆転。この日初めて首位に立った。
その直後にスピン車両によりイエローコーション。残り40周と、ちょうど最後まで走り切れる周回のため、1台を除き全車ピットへ。ここで首位のケンゼスのみタイヤを2本交換。他の車両は全車4本交換と作戦が分かれた。
ケンゼスが2位、トゥルーエクス・Jr.が3位、ハムリン4位で再スタート。ケンゼスが一旦首位に立ったが、タイヤで勝るハムリンがこれをパス。
首位に立ったハムリンは快調に後続との差を広げていき、一時その差は2秒以上に。終盤、後続からじりじりと差を詰められたものの逃げ切り、ハムリンが今季初勝利を挙げた。
この勝利でハムリンはトゥルーエクス・Jr.に続き、チャンピオンを争う“プレーオフ”への出場権をほぼ確実なものとした。
この勝利はトヨタにとって、2007年に参戦を開始して以来カップ・シリーズでの99勝目。記念すべき100勝へあと一つと迫った。
トヨタは前戦ケンタッキーに続き2連勝。両レースともにトヨタドライバーがレースの9割以上を支配する速さを見せた。また、前週ケンタッキーでトヨタは3カテゴリー全てを制したが、今週も両カテゴリーで勝利と、2週連続での週末制覇となった。
今レース最多の137周で首位を走行したトゥルーエクス・Jr.は3位。ドライバーズランキングでは首位に返り咲いた。ケンゼスが4位。ルーキーのダニエル・スアレツが自己最高位タイの6位に入り、トヨタ勢は4台がトップ6フィニッシュを果たした。
終盤のコーション時にもピットロードスピード違反を取られるなど苦戦したカイル・ブッシュだったが、終盤追い上げ12位でチェッカーを受けた。
次戦第20戦は7月23日(日)、米国中部インディアナ州インディアナポリスのインディアナポリス・モーター・スピードウェイで行われる。
ドライバー デニー・ハムリン
「最高の気分だ。シーズンが進んでいく毎に調子が上がっているのは分かっていたが、勝利が欲しかった。チームにとっても、私自身にとっても必要だった勝利であり、これでプレーオフに向けても勢いに乗れるし、本当に嬉しい」
「金曜日にクラッシュしてバックアップカーに乗り換えることになったが、チームの素晴らしい努力で昨日までには最高のバランスに仕上がった。チーム全体での勝利だ」
NASCAR XFINITY SERIES
第17戦 Overton’s 200
開催日:7月15日
カイル・ブッシュが2連勝で今季3勝目!
7月15日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第17戦「Overton’s 200」がニューハンプシャー・モーター・スピードウェイで開催された。
午後4時14分に1.058マイルオーバルを45周、45周、110周の3ステージ合計200周(211.6マイル:約340km)して競われる決勝レースがスタート。
ポールポジションのカイル・ブッシュはリードを守るも、序盤はオーバーステア症状のハンドリングに苦しむことに。レースはスタートして15分ほどで降雨のために赤旗中断。45分ほどの中断の後に再開された。
ステージ1は今季シリーズ初出場となるライアン・プリースが2位。苦しみながらもカイル・ブッシュが3位、マット・ティフトが10位に入った。
ステージ2では序盤トップに立ったカイル・ブッシュと、同じくカップ・シリーズドライバーで元チャンピオンのブラッド・ケゼロウスキー(フォード)の首位争いに。
なおもハンドリングに苦しむカイル・ブッシュはステージ2を2位でフィニッシュ。プリースが4位、ティフト8位と3台揃ってトップ10圏内でステージ2を終えた。
この日はステージ1の後半に一度イエローコーションが出ただけで、ステージ2,ステージ3ともにまったくイエローコーションが出ない展開。レースが残り40周を切ったあたりから各車グリーンフラッグ下で最後の給油のためにピットへと向かった。
カイル・ブッシュは4本タイヤを交換、給油を行いコースへと復帰。カイル・ブッシュと首位を争っていたケゼロウスキーは燃料給油缶が取り外される前にピットアウトしてしまい、ペナルティ。これでカイル・ブッシュは後続に10秒以上もの大差をつけての独走状態に。
カイル・ブッシュはこの差を保ったままトップチェッカー。前戦ケンタッキーに続き、2戦連続のポール・トゥ・ウィンで今季3勝目を挙げるとともに、自身の持つシリーズでの最多勝記録を89へと伸ばした。
2位には今季初出場となったプリースが入り、自身キャリア最高位フィニッシュを果たした。ティフトは11位でチェッカーを受けた。
次戦第18戦は7月22日(土)、インディアナポリス・モーター・スピードウェイで行われる。
ドライバー カイル・ブッシュ
「この勝利は最高の仕事をしてくれたチームに捧げたい。彼らが本当に、本当に最高のトヨタ・カムリを仕上げてくれた。22号車(ブラッド・ケゼロウスキー:フォード)も速かったが、我々の方がロングランで良かったように思う」
「しかし、このコースでは追い越しが難しかったのでポジションが重要だった。チーム、見に来てくれたファン、そしてこのシリーズに関わっている全ての人に感謝したい」