加計学園問題などで揺れる安倍内閣の雲行きが怪しくなっている。ANNの世論調査で、安倍内閣の支持率が29.2%に下落した。「危険水域」と言われる3割を下回ったのは、2012年の第2次安倍内閣発足以来、初めてだという。
7月17日に発表された同調査では、安倍内閣を支持しないと答えた人が54.5%で、前回より12.9ポイント上昇した。8月に予定されている内閣改造に「期待する人」は38%で、「期待しない」の54%を下回った。世論調査の結果が報じられると、ネット上には著名人から反応が相次いだ。
「内閣支持率急落の原因を偏向報道のせいにする支持者」
思想家の内田樹さんは、支持率急落に便乗して安倍政権を批判するのではなく、冷静な分析が必要だと説いた。
「安倍政権の支持率急落でメディアが嗜虐的に『水に落ちた犬を叩く』局面になる前に、この政権が何を破壊したのかについてクールで精密な吟味が必要だろうと思います。そして『戦後最悪の政権』をなぜ多くの日本人は嬉々として支持したのか、これは気の重い宿題として引き受けなければなりません」
安倍首相の支持者の中には、「マスコミの報道が偏っている」「世論調査は信頼できない」と反発する人も多かった。こうした支持者の姿勢を批判する人もいた。小泉内閣では内閣総理大臣秘書官を務め、参議院と衆議院で議員を務めてきた小野次郎さんは、
「内閣支持率急落の原因を偏向報道のせいにする支持者の声。反省を政権に求める代わりにマスコミに踊らされる世論の方に反省を求める。これでは急落の要因に思いやる事もなく高まる批判と不信感にただ耳を塞ぐだけ」
とツイート。なぜ支持率が下落しているのか真摯に向き合う必要があるということだろう。
経済学者の金子勝さんは、トランプ米大統領の支持率も下落していることを受け、「首脳会談でアベとトランプはゴルフで蜜月を演出したが、支持率下落も仲良しだ」と皮肉った。
支持政党はない人が45.1% 「今必要なのは信頼できる受け皿」
共同通信社も7月15~16日に全国電話世論調査を実施した。こちらの調査でも、安倍内閣の支持率は続落し、35.8%となった。2012年の第2次安倍政権発足以降、最低の数字だ。一方、不支持率は10.0ポイント増で53.1%となった。支持しない理由としては、「首相が信頼できない」が51.6%と最多だった。
学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画について、"行政がゆがめられたことはない"とする政府側の説明に「納得できない」と回答した人は77.8%に上り、「納得できる」はわずか15.4%だった。
また政党支持率は自民党が31.9%で、「支持する政党はない」とした無党派層の45.1%を下回った。ただし野党の支持率が高いわけでもない。民進党は8.2%、共産党は4.1%、日本維新の会3.5%、公明党3.0%で、社民党はわずか1.1%だった。そのため、ネット上では
「支持政党なしが多いとは言え、ざっくり言って自公で35ポイント。民共連合を全部足しても14ポイント」
と指摘する人もいた。無党派層が多いことについては、「政治不信がここに極まれりと言ったところ。今必要なのは、信頼できる受け皿だね」という意見もあった。野党にはもっと健闘してほしいということだろう。