WEC世界耐久選手権第4戦は7月16日、ドイツ・ニュルブルクリンクで6時間の決勝レースが行われ、TOYOTA GAZOO Racingは7号車トヨタTS050ハイブリッドが3位表彰台を獲得。8号車トヨタTS050ハイブリッドは一時最後尾に落ちながら、総合4位でフィニッシュした。
第4戦の舞台となったニュルブルクリンクは16日、朝から雨に見舞われたがレース開始時刻の現地時間13時には雨も上がり、サーキットのコース路面もほぼドライコンディションとなった。
これを見て各チームはスタート直前にタイヤをドライ用のスリックタイヤへと交換。トヨタの2台も同様の作戦を執り7号車トヨタの小林可夢偉、8号車トヨタのセバスチャン・ブエミを決勝レースへ送り出している。
フォーメーションラップが始まってまもなく、4番手スタートの8号車トヨタにトラブルが発生。8号車トヨタはエンジンの駆動が得られない状況のなか、モーター駆動だけでピットに戻ると、チームはトラブルの原因となった燃料ポンプの交換作業を行った。8号車トヨタは8分間の修復作業後にコースに復帰したものの、この時点でトップの7号車トヨタから5周遅れとなってしまった。
一方、ポールポジションからスタートした7号車トヨタは、可夢偉のドライブでスタート後の1時間をファステストラップを記録するなど、トップ快走を続ける。
しかし、1回目のピットストップ後、可夢偉から替わったホセ-マリア・ロペスが2台のポルシェ919ハイブリッドに先行を許し、7号車トヨタは3番手に後退。抜かれたロペスは順位を取り戻すべく、すぐさまポルシェに接近するもオーバーテイクには至らなかった。
その後、トヨタの2台はマシンの空力的なバランスの低下により、思うようにペースが上げられなくなったことから、チームは着実に選手権ポイントを獲得する方向に作戦をシフト。
その結果、7号車トヨタは優勝した1号車ポルシェ、総合2位となった2号車ポルシェと約1分差の総合3位でフィニッシュし、チームにとって初めてとなるニュルブルクリンクでの表彰台を獲得するとともに、選手権ポイント15点を獲得している。
また、スタート直前のトラブルによって最後尾の総合29番手まで後退した8号車トヨタも、再スタート後はコンスタントな走りで順位を挽回してみせ、最終的にトップから5周遅れながら総合4位でチェッカーを受け、貴重なポイントを獲得した。
第4戦の結果、トヨタはマニュファクチャラーズポイントでポルシェと39.5ポイント差の2位。ドライバーズ選手権では8号車トヨタのブエミ、中嶋一貴、アンソニー・デビッドソンが、2号車ポルシェのクルーを30ポイント差で追う展開となっている。
■一貴「トラブルを考えればロスは最小限に留められた」
「我々にとってニュルブルクリンクは残念ながら今回も厳しいレースとなりました」と語るのは佐藤俊男TOYOTA GAZOO Racing代表。
「速いワンラップスピードを示すこともでき、序盤はポルシェとの接戦を繰り広げることができましたが、途中から車両バランスが悪化、ペースが低下し苦戦をしました」とレースを振り返った。
ポールポジションからスタートした7号車トヨタの可夢偉は「最初のスティントでは僕たちのペースは良く、首位をキープできましたが、その後はバランスが悪くなってしまい首位争いから脱落してしまいました」とコメント。
「正直なところ、金曜日の公式練習走行から厳しいレースになるだろうとは予想していましたが、その通りになってしまいました」
可夢偉のチームメイトであるロペスもまた苦しいレース展開だったことを認める「厳しいレースではあったが、僕にとってはWECで初めてとなる表彰台フィニッシュを果たすことができた」
「チームの働きのおかげでポールポジションが取れたのは驚いたけど、決勝レースは簡単ではないと思っていた。実際、僕の2スティント目はタイヤが摩耗し、本当に苦しい状態だったんだ」
レース序盤に勝負権を失ってしまった7号車トヨタの一貴は次のように語った。
「フォーメーションラップ中にトラブルに見舞われ、上位争いのチャンスは失われてしまいました。スピード的にはポテンシャルを見せられたと思いますが、いくつかの問題もありました」
「今回は4位でフィニッシュできたことで、トラブルを考えれば選手権争いへのロスは最小限に留められたとポジティブに考えるべきでしょう」
WEC第5戦は9月1~3日、メキシコのアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスで行われる。