トロントで行われたインディカー・シリーズ第12戦。16日に決勝レースが行われ、チーム・ペンスキーのジョセフ・ニューガーデンが今季2勝目を挙げた。佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポート)は、16位と下位に終わった。
予選7位だったジョセフ・ニューガーデン。ポールを決めるファストシックスに進出し損ねたニューガーデンがトロントのウイナーに輝いた。
優勝のポイントは1回目のピットタイミングだった。彼が入った23周目は、トニー・カナーン(チップ・ガナッシ)が1回目のピットを終えた直後にターン1でクラッシュし、フルコースコーションが出された直後だった。
スタート直後にウィル・パワー(チーム・ペンスキー)とスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)が接触。パワーはリタイアし、ディクソンはマシンにダメージを受けて後退した。
ニューガーデンはジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン)を抜いただけで4番手に浮上していた。予選3位からトップに躍り出たエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)、PPから2番手に下がったシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)、予選2位から3番手に下がったグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン)がトップ3を走り、ニューガーデンは彼らにジリジリと離され始めていた。
そのタイミングでイエローが出て、トップ3はすでにピット入り口を通過。ニューガーデンだけがイエローフラッグが振られるギリギリ前にピットロードに滑り込み、イエローが明けるとトップに躍り出た。
トップ3だったカストロネベスはイエロー中にピット作業を受け、コースに戻ると14番手までダウン。同様にパジェノーは15番手、レイホールは16番手に下がっていた。そこからパジェノーは5位まで挽回してゴール。
カストロネベスは8位、レイホールは10位という結果を手にした。完璧な予選を戦ってポールポジションを獲得したパジェノーは、レースでも奮闘が光った。今日はスタートでカストロネベスに先行を許した。結果に大きな影響を与えるものとはならなかったが、スタート、リスタートで確実にトップを守るスキルのレベルアップがタイトル防衛には必要となるかもしれない。
2015年にニューガーデンはトロントで優勝している。今回がカナダでの2勝目だが、実は1勝目も今日と同じくラッキーなタイミングでのピットストップによるものだった。彼はそれを「良い作戦」と読んだが、チームが考え出した作戦ではなく、絶妙のタイミングでピットに呼び込んだというのが真相だ。
彼と彼のマシンは速く、トップに立ってからはほとんどプレッシャーらしいプレッシャーを受けなかった。2番手に浮上していたアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)にはそこまでのスピードがなかった。
「トップに立ってからは、いかにレースをマネジメントするかだけが問題だった」とレース後にニューガーデン自身も厳しい戦いにはなっていなかったことを認めていた。
2位はロッシ、3位はトロント近郊出身のジェイムズ・ヒンチクリフだった。ヒンチクリフは昨年と同じく、6位スタートから3位フィニッシュした。
ポイントトップのディクソンは10位。17戦のうちの12戦が終わったところで、またポイントバトルは一気にタイトになった。ディクソンはトップを守ったが、2番手につけるカストロネベスとの差は3点しかなく、3番手のパジェノーはトップから19点差。ニューガーデンはパワーを抜いてランキング4番手に浮上。トップとのポイント差は23点だ。
佐藤琢磨は予選10位。スタートでマックス・チルトン(チップ・ガナッシ)をパスし、パワーの脱落とディクソンの後退で7番手に浮上した。しかし、カナーンのイエロー前にピットしていなかったために18番手まで後退。
スペンサー・ピゴット(エド・カーペンター・レーシング)との接触でタイヤとフロントウイングも傷めた。更なるイエローは出されず、雨も降らなかったことから、琢磨は16位でのゴールとなった。
「マシンはとても速かった。それだけに悔しいレースでした。今日は何もかもタイミングが遅かった。雨もレース後に降ってくるとは……」と彼は悔しがっていた。
シリーズも残すは5戦。次戦はロードコースのミド・オハイオだ。