スーパー耐久シリーズ第4戦が7月15、16日にオートポリスで開催され、グループ2決勝では松井孝允/蒲生尚弥/坪井翔組の86号車TOM’S SPIRIT 86が、そしてグループ1決勝では永井宏明/佐々木孝太組の8号車ARN Ferrari 488 GT3が、それぞれ総合優勝を飾った。
オートポリスが舞台のスーパー耐久第4戦は、第1戦、第2戦に続いて2グループ開催となり、日曜日の午前にグループ2の、そして午後にグループ1の決勝が、それぞれ3時間で争われた。
まずST-4クラスとST-5クラスによるグループ1は、ここまで2戦連続でポール・トゥ・ウインを飾っている、松井孝允/蒲生尚弥/坪井翔組のTOM’S SPIRIT 86がまたしてもポールポジションを獲得した。
ウエイトハンディも40kgに達していたこともあり、「予選は燃料を減らして軽い状態で走れたから良かったけど、決勝は満タンなので、かなり厳しくなりそう」と松井は語っていたものの、タイヤに厳しいコースであることをあえて逆手に利用し、積極的にタイヤを使って、重さに対処。
普段は2回のピットのうち1回を無交換とするところを、2回とも4本換えのタイヤ交換で最後までスピードを保って逃げ切りを果たす。
「チームが建ててくれた作戦が大正解だったのと、いいクルマといいチームに恵まれているおかげで、僕はずっと勝ち続けられているんだと思います」とは、デビューの第2戦以来、連勝を重ねる坪井のコメントだ。
ST-4クラスでは一台逃げ続けたTOM’S SPIRIT 86に代わり、終盤のレースを盛り上げたのが93号車SKR ENGINEERING ings S2000だった。2番手から最後のピットストップで順位をふたつ落とした佐々木雅弘だったが、そこから激しい追い上げを敢行。
ミッションにトラブルを抱え、ペースを上げられなくなっていた54号車TC CORSE iRacing ROADSTERの堤優威との12秒ほどの差を瞬く間に詰めていく。そしてゴールまであと5周のところで逆転を果たすと、その勢いのまま13号車ENDLESS ADVAN 86の高橋翼との差も詰めていくが最後はコンマ9秒及ばず。あと1周あったなら確実に仕留めていたに違いない。
一方、ST-5クラスでは、逆に終盤のトップ争いが大いに盛り上がりを見せた。予選は2番手だったものの、序盤のうちにトップに立っていたのが、筒井克彦/山下潤一郎/山西康司組の2号車TEAM 221 BOMEXマッハ車検ND5RC。一時は予選トップだった、村上博幸/脇谷猛/加藤正将組の88号車村上モータースMAZDAロードスターNDは、大きく引き離されていた。
だが、村上モータースMAZDAロードスターNDは、最後のピットストップをタイヤ無交換としてTEAM 221 BOMEXマッハ車検ND5RCとの差を詰めて、加藤が筒井を徐々に追い詰めていく。
そして、ゴールまで10周を切った71周目に加藤は逆転。筒井も遅れを取らずワンチャンスの到来を待つ。しかし、加藤も隙を見せることなく、そのまま逃げ切って村上モータースMAZDAロードスターNDも3連勝を飾ることとなった。
「今回は加藤選手が完璧な仕事をしてくれて、脇谷も頑張ってくれましたから、今回はスタッフを含めた全員の勝利だと思います」と村上。3位は関豊/横田剛/井尻薫組の37号車DXLアラゴスタNOPROデミオSKY-Dが獲得し、マツダ車が表彰台の独占を果たしている。
続いて午後から行われたグループ1の決勝では、永井宏明/佐々木孝太組の8号車ARN Ferrari 488 GT3が、4戦連続のポールポジションから、ついに悲願の初優勝を達成。
永井がスタートで1号車スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの藤井誠暢の先行を許したり、終盤には99号車Y‘s distraction GTNET GT-Rの藤波清斗のチャージを受けたりしたが、そのつどしっかり対処。特に藤波は勝負を急いだあまり、接触してタイヤを痛めて4位に順位を落としてしまう。
だが、永井にも最後に試練が。接触に対してドライビングスルーペナルティが課せられてしまったのだ。その時点で777号車D‘station Porscheの近藤翼との差は37秒で、まさにギリギリだったがなんとか逆転を許さずコースへ復帰。しかし、近藤がプッシュし、逆転を狙ったものの、1秒1差で逃げ切りを果たした。
「今度こそって気持ちでやってきて、臨んだオートポリス戦で、その思いがかなって最高の気分です!」と永井。
ここまでランキングのトップだったENDLESS ADVAN GT-Rは燃料系のトラブルで完走扱いにならず、1ポイント差で続いていたスリーボンド日産自動車大学校GT-Rもパドルシフトのトラブルで完走を果たすに留まったことから、永井と佐々木は待望のランキングトップにも躍り出ることとなった。
ST-TCRクラスでは黒澤琢弥/石川京侍/加藤寛規組の98号車Modulo CIVIC TCRが、今季3勝目をマーク。4戦連続で予選トップだった、田ヶ原章蔵/白坂卓也/竹田直人組の45号車LIQUI MOLY RS3 LMSを中盤に逆転すると、そのまま逃げ切りを果たすこととなった。
「僕らはコンスタントに走っていると、前の方でトラブルが起こってくれて」と黒澤。また、今回も孤軍奮闘のST-1クラスでは、影山正美/小川勝人/富田竜一郎組のNissoku Porsche 991 GT3 Cupが優勝。「オートポリスを初めて走る小川さんが、予選で僕の3秒落ちまできて、脅威さえ感じましたよ」と影山。
ST-3クラスでは、手塚祐弥/前嶋秀司/鈴木陽組の39号車ADVICS TRACY RC350 DPSが初優勝。必死に食らいつくも、逆転は許されなかった嵯峨宏紀/中山雄一/山下健太組の62号車DENSO Le Beausset RC350ながら、ランキングのトップは死守することになった。
「今回からブレーキがすごく良くなって、あとセットを任せた手塚がすごくいい仕事をしてくれて、成長を感じられたのがすごく大きいね」と前嶋。
ST-2クラスでは最後までノートラブルで凌ぎ切った、冨桝朋広/菊地靖/大橋正澄組の6号車新菱オート☆DIXCEL EVO Xが今季初優勝。
「珍しく今回は最後まで何も起きなくて。次の富士はビッグポイントのレースなんで、最後まで諦めず戦います」と冨桝。
2位は下垣和也/松本武士/近藤説秀組の20号車RSオガワADVANランサーが獲得し、ここまで2連勝の59号車DAMD MOTUL ED WRX STIを駆る、大澤学/後藤比東至組は序盤の接触でレインランプを損傷し、その修復を強いられたことで勝機を失い、3位に甘んじた。