借りていた部屋を退去する際、不動産業者から「床の張替え」などを名目に法外な金額を請求されるなどのトラブルに遭うケースがある。
一般的には業者や大家などが悪者にされやすいが、賃借人の中には「もう2度と借りるな!」と大家が声を荒げたくなるほど非常識な人がいる。都内にある物件の大家2人から、そんなトンデモ賃借人のエピソードを聞いた。
◆夜逃げする人
「『夜逃げします』と言って突然消えた入居者がいました。後で知ったのですが、実は詐欺容疑で逮捕状が出ていた人物で、警察から逃げていたのです。約10日後に逮捕されたと聞きました」(大家A)
「起業を目指している方でしたが、事業がうまくいかなかったのでしょう、家賃を3か月滞納した挙句に夜逃げしました。勝手に鍵を変えており、現地へ向かっても入室すらできず……。鍵の業者を呼んで部屋に入ると、荷物は残したままでした」(大家B)
大家Bによると、滞納した分の賃料は回収できなかったという。賃借人は破産宣告を受けており、「これでは債権者集会に出席してもダメだなと判断しました。金額は多額ではなかったですし、回収の費用と労力を考慮した結果、本業に専念する方が得策だと考えました」と振り返る。ひどい話である。
◆ゴミをトイレに捨て続けた結果、部屋中が水浸し
「あろうことかゴミを毎日トイレに流し続けた人がいました。ある日ついに配管が詰まり、水が部屋中に溢れ出すという事態になりました。1階だったことが不幸中の幸いで、下階に水が行くことはありませんでしたが、困りましたね」(大家A)
◆母親が「息子と連絡が取れない!」と電話 実際は……
「『失業中の息子と連絡が取れない』と心配する母親から連絡を受け、部屋に同行したところ、息子さんはただ部屋で寝ていただけでした。その後母親が実家に連れて帰りましたが、こちらを巻き込まないで欲しかったです」(大家A)
◆勝手にペットを飼育 柱の一部がかじられていた
「ペットの飼育が可能な物件ではないのに、隠れて室内犬を飼っていた人がいました。退去に伴い部屋を見に行ったところ、畳や柱を食べられており愕然としました。一部がなくなるほどかじられている柱もありました。床には大量の犬の毛が落ち、床を剥がさないと取り除ききれなかったので、全面改装することに。また、犬がエレベーター内で排泄するなど共用部でも隣室住人に迷惑をかけており、私のところにはクレームが相次ぎました」(大家B)
◆壁がタバコのヤニで真っ黄色
「退去時に部屋を見ると壁全体がタバコのヤニで真っ黄色の状態でした。修繕費用を請求しましたが、敷金以上の支払いは一切拒否。壁はヤニで汚し、やりたい放題してこれですよ……。社会常識がない人とはこのような人のことを指すのかと思いました」(大家B)
◆室内で暴れた? 部屋がボロボロに
「女性1人の契約でしたが、いつの間にか男性と2人暮らしをしていました。長期間住んでいただけたものの、退去後に室内に入ると壁が破られ大きな穴が空いていました。驚いたのは、ユニットバス部分は壁面が割られ、天井から床までヒビが入っていたのです。本人と保証人に修繕費用を請求しましたが、『知らない』の一点張りで、支払いの意思はありませんでした」(大家B)
ほかにも、部屋で住人が大麻栽培をしていたり、失踪した住人の部屋がゴキブリだらけだったというエピソードもある。大家としては困ってしまうところだろう。部屋を借りる時は、隣室住人に配慮する、できるだけ綺麗に使うなど、トラブルを起こさないように心がけたいところだ。