WEC世界耐久選手権は7月16日、第4戦ニュルブルクリンクの決勝レースが行われ、2号車ポルシェ919ハイブリッド(ティモ・ベルンハルト/アール・バンバー/ブレンドン・ハートレー)が優勝を飾った。
第1戦、第2戦と同様、6時間で争われたニュルブルクリンクの決勝レースはスタート前に8号車トヨタTS050ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/アンソニー・デビッドソン/中嶋一貴)がスローダウンする波乱で幕を開ける。
8号車トヨタのスローダウンは、燃料ポンプに起因するエンジントラブルが原因で、チームは当該パーツの交換を余儀なくされ、決勝レーススタート前に優勝争いから脱落してしまった。
スタートではポールシッターの7号車トヨタTS050ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス)がレースをリード。スタートドライバーの可夢偉は第1スティントで2秒前後のギャップをつける走りをみせる。
第2スティントを担当したロペスも順調にトップを走行していくが、後方から2号車ポルシェが着実に差を詰めてくる。そして、スタートから1時間17分が経過した頃、7号車トヨタの背後につけた2号車ポルシェが1コーナーでオーバーテイクに成功。トップが入れ替わった。
交わされた7号車トヨタのロペスも3秒前後の僅差で続いていったが、徐々にギャップが拡大。レース折り返しの3時間を過ぎた頃には1号車ポルシェ919ハイブリッド(ニール・ジャニ/アンドレ・ロッテラー/ニック・タンディ)にも交わされ3番手まで後退してしまい、前を行くポルシェ勢とのギャップが25秒近くまで広がってしまう。
これでワン・ツー体制を構築したポルシェ勢は、ポジションを入れ替えながらレースをリード。1号車ポルシェをトップにレース残り1時間に突入する。
チェッカーまで残り1時間は、ロッテラー操る1号車ポルシェが総合首位を走行。このままロッテラーがチーム移籍後初優勝を飾るかと思われたが、レース残り15分を切って行った最後のピットインで、チーム戦略からか、1号車ポルシェは給油で長めの停車。
一方、その直後にピットインした2号車ポルシェは短い給油時間でコースに復帰したため、順位が逆転。6月のル・マン24時間を制し、ポイントランキングトップにつける2号車ポルシェが総合首位に躍り出て、そのままチェッカーを受け連勝を飾った。
総合2位は1号車ポルシェが続き、ポルシェがワン・ツー。ニュルブルクリンク初優勝を狙ったトヨタ勢は7号車が総合3位、スタート前のエンジントラブルで大きく出遅れた8号車トヨタは5周遅れの総合4位に入っている。
LMP2クラスは、レース序盤は31号車オレカ07・ギブソン(ジュリアン・キャナル/ブルーノ・セナ/フィリペ・アルバカーキ)がリードしたものの、レース開始から2時間経過後には第85回ル・マン24時間を制した38号車オレカ07・ギブソン(ホー・ピン・タン/オリバー・ジャービス/トーマス・ローレント)がクラス首位に浮上する。
ジャッキー・チェンDCレーシングの38号車は着実にリードを広げていき、スタートから4時間経過目前に緊急ピットを余儀なくされポジションを落とす場面もあったが、即座に挽回。最終的にクラス2番手に1周以上のギャップを築いて、2戦連続のクラス優勝を成し遂げている。
LM-GTEクラスは91号車ポルシェ911 RSR(マイケル・クリステンセン/ケビン・エストレ)と激戦を繰り広げた51号車フェラーリ488 GTE(ジェームズ・カラド/アレッサンドロ-ピエール・グイディ)が制したほか、LM-GTEアマクラスは77号車ポルシェ911 RSR(クリスチャン・リード/マッテオ・カイローリ/マービン・ディエンスト)がクラス優勝を飾っている。澤圭太も乗り込む61号車フェラーリ488 GTE(ウェン-サン・モク/澤圭太/マシュー・グリフィン)はクラス4位だった。
WEC第5戦は9月1~3日、メキシコのアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスで行われる。