モニシャ・カルテンボーン代表が解任され、フレデリック・バサールが新しい代表となったザウバーとの交渉が新たな展開を迎えているホンダ。そのイギリスGPで、ホンダも新たなカードを切り出したらしい。あるレース関係者によれば、そのカードとは、ホンダのトロロッソへのパワーユニット供給である。
ホンダは引き続き、ザウバーとの交渉を進めていく予定だが、予断を許さない状況だ。もし、ザウバーとの交渉が決裂した場合、現状ではホンダはマクラーレン1チームだけとなる。
これは、若手ドライバーを育成しているホンダにとってデメリットになるだけでなく、2チーム供給によってPUの開発スピードを上げたいと考えているマクラーレンにとってもメリットがなくなる最悪のシナリオだ。
トロロッソ側にも、ホンダとのパートナーシップはメリットがある。それはレッドブルとの関係だ。レッドブルの姉妹チームとして現在、親会社から多大なサポートを受けているトロロッソだが、ここにきてその関係に変化が訪れようとしている。
レッドブルがトロロッソをサポートしてきた最大のメリットは、若手ドライバーの育成だったが、その育成システムを今後は見直そうとしているからだ。
そうなると、トロロッソは財政的に厳しくなる。PU供給だけでなく、若手育成も含めたバックアップを考えているホンダとトロロッソの提携は、両者にとってだけでなく、レッドブルにとってもメリットとなる。
ここで問題となるのが、トロロッソとルノーの契約だ。F1のスポーティングレギュレーションでは、次シーズンで使用するPUを変更する場合、5月15日までにFIAに申請しておかなければならず、その期限はすでに過ぎてしまっているからだ。ただし、全チームの同意があれば、変更は可能だ。
シルバーストンでは、マクラーレンがルノーと会談を持ったと言われている。そのため、再びマクラーレンとホンダの決裂がささやかれているが、これはトロロッソへのPU供給に関する話し合いだった可能性が高い。
いずれにしても、来年のマシンの開発はすでに始まっている。もし変更するならば、ザウバー、そしてトロロッソにとっても、その期限は間近に迫っており、一刻の猶予も許されない状況となっていることは間違いない。