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【あなたは何しに?】フェラーリのガレージに現れたセナの元レースエンジニア

2017年07月16日 13:52  AUTOSPORT web

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フェラーリのガレージ裏で話し合うアスカネリ(左)
F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。そんな人たちに、「あなたは何しに、レースに来たのか?」を尋ねてみる特別企画。今回は、かつてアイルトン・セナのレースエンジニアを務めたジョルジョ・アスカネリだ。 

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 フェラーリのガレージ裏で、イタリア語でスタッフと親しげに話しをしている恰幅のいい男性がいた。この顔を見てだれか答えられたあなたは、かなりのF1通である。彼の名前はジョルジョ・アスカネッリ。

 2012年の途中までトロ・ロッソのテクニカルディレクターを務めた人物だが、F1通の間ではかのアイルトン・セナがマクラーレンに在籍していたときに、彼のレースエンジニアとして名を馳せた人物として名高い。

 そのアスカネッリが、マクラーレンではなく、なぜフェラーリのガレージ裏に?

「私がモータースポーツを始めたのは、フェラーリだったんだよ。マクラーレンへ行ったのは、フェラーリでゲルハルト(・ベルガー)のレースエンジニアをしていて、そのゲルハルトがマクラーレンへ移籍したからなんだ」


「アイルトンとはその後、93年に一緒に仕事をしたよ。彼は本当にすごいドライバーだった。あの年のマクラーレンはフォードのカスタマーエンジンだったのに、ウイリアムズ・ルノーに何度か勝ったんだから」

「雨のドニントンも忘れられないけど、なんといっても一番の思い出は、オーストラリア・アデレードでの最終戦。あれがアイルトンとレースエンジニアの私にとって、最後の勝利になったんだからね」

 セナがマクラーレンを離脱した後、アスカネッリはベルガーの誘いでフェラーリに復職。その後、しばらくF1を離れ、2007年にトロ・ロッソのテクニカルディレクターとしてF1にカムバック。2012年の途中で退職し、ブレンボに移籍していた。

「もうレースはしていないんだ。もう十分やった。いまは自宅があるイタリアのベルガモでのんびり暮らしているよ。ただ時々、この世界のことがなつかしく思い出されることがある。だって、ここにはまだ大勢の旧友たちが仕事しているんだからね」

 そう言うと、アスカネッリはフェラーリからもらったゲストパスをぶら下げて、フェラーリのガレージへと入って行った。