F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。そんな人たちに、「あなたは何しに、レースに来たのか?」を尋ねてみる特別企画。今回は、ランス・ストロールの個人コーチを務めるルカ・バルディセッリだ。
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どこかで見かけたことがある懐かしい顔が、自転車に乗ってやってきた。ルカ・バルディセッリだ。
かつてミハエル・シューマッハが全盛時代、フェラーリのエンジニアを務めたものの、その後チーフエンジニアに昇格した2010年、シーズン序盤の戦略ミスを問われ、事実上レースチームを更迭され、ファクトリー勤務に。その判断が正しくなかったことは、その年の最終戦となったアブダビGPでフェラーリは再び戦略ミスを犯して、タイトルを逃したことでもわかる。
その後、バルディセッリはフェラーリの若手ドライバー育成システムであるフェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)の責任者として、多くの優秀な若手ドライバーを発掘・育成してきた。その第1号がジュール・ビアンキで、現在GP2で活躍している松下信治も、バルディセッリの目にとまり、マラネロでテストした経験もある。
そのバルディセッリは2015年限りでFDAから離脱しただけでなく、フェラーリも退職。何かあったのか?
「じつは私が発掘して育てたランス(・ストロール)が、2016年からウイリアムズのテストドライバーになるため、FDAをやめることになった。そのとき、彼の父親から個人コーチとしてランスの世話をお願いされたので、私も同時にフェラーリを抜けたというわけさ」(バルディセッリ)
ストロールといえば、個人トレーナーに個人広報を持つ異例のルーキーとして、その広報のアン・ブラッドショーをこのコーナーで紹介したこともあるが、さらに個人コーチもいたわけだ。
驚くのはまだ早い。バルディセッリが自転車に乗って、これからどこへ行くのかを尋ねたところ、こう答えたのだ!!
「これから、ランスが寝泊まりしているプライベート・モーターホームに行くところさ。明日のスケジュールの確認するためにね。私?私はサーキットから遠く離れた安宿に泊まっているよ。モーターホームに泊まっているのは、ランスのトレーナーと父親だけだよ」