MuSASHi RT HARC-PRO.ホンダ(ハルク・プロ)から全日本ロードレース選手権のJSB1000に出場しているの高橋巧に4戦を終えたマシンの感触と、FIM世界耐久選手権(EWC)の最終戦、“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレースへ向けての意気込みを聞いた。
高橋は2017年シーズン、新型のホンダCBR1000RR SP2をベースにしたマシンで全日本ロードレース選手権JSB1000クラスを戦っている。
前半戦を終えて、高橋は2勝を挙げポイントランキング3位。トップの津田拓也(ヨシムラ・スズキMOTULレーシング)から3ポイント差と、充分にチャンピオンがねらえる位置につけている。
鈴鹿8時間耐久ロードレースで使用されるマシンのレギュレーションは、全日本JSB1000クラスのそれに近い。鈴鹿8耐でも使用されるCBR1000RR SP2のポテンシャルは、高橋の前半戦の好調さが示すとおりだ。
「全日本では2回優勝できましたし、第4戦もてぎまではランキングもトップ。オートポリスを除けばいい形で進められて、新型CBRのポテンシャルも証明できたと思います」と高橋は新しいマシンのパフォーマンスを評価する。
「ただ、実際に真っ向勝負をして勝ったレースがない。周りが転倒したりトラブルがあったりしたので、しっかり勝負してたらどうなっていたかわかりませんね」
第5戦オートポリスで、高橋は今シーズン初となるリタイア。しかしそれもマシントラブルによるものであり、濃霧のための赤旗中断前にはトップを走行している。
「オートポリスは久々に勝負ができるかなと思っていたところでのトラブルでした。マシン自体のポテンシャルは絶対に上がっているとは思います」
「ただ、まだ詰めきれていない。セッティングもそうだし、今はそういう“膿”を出す作業をする時期なんだと思います。トラブルもまだけっこう出る状況ですから」
「鈴鹿8耐ではそんなこと言ってられないですし、鈴鹿8耐前に“大きな膿”が出せてよかったのかなと思う部分もありますね」
オートポリスで発生したトラブルはどのようなものだったのか。
「電気系のトラブルです。エンジンが壊れたわけではなかったので走れなくはなかったのですが、明らかにペースが遅く周りともスピードが違いすぎて危険だったので、ピットインしました」
「安全のための制御、セーフティモードに入ってしまったんです。まともに走れませんでしたね。そういうところもまだ詰め切れていないのだとは思います」
ハルク・プロは2015年、2016年の鈴鹿8耐をリタイアという形で終えた。チームとしても2014年以来3年ぶりとなる優勝を渇望している。
今年は高橋のチームメイトに、MotoGPの最高峰クラスで戦うジャック・ミラーと、Moto2クラスで今シーズン3度の表彰台を獲得している中上貴晶が起用され、優勝へ向けた体制は整っている。
「昨年、一昨年とトラブルでリタイアという形で終わってしまい、自分はもちろんですが、チーム、メーカーも悔しい思いをしました」
「今年は鈴鹿8耐40周年ということで、万全の体勢で8耐に向けてテストもしてきました。今年は特に万全の体勢で走れると思っています」
「(レースに)出るからには勝ちにこだわって、しっかりとしたレース運びができるように頑張りたいですし、チームもそう思ってくれているので、勝ちを目指していきたいと思います」
高橋は今年優勝すれば、鈴鹿8耐通算4勝。これはレジェンドライダーのワイン・ガードナーに並ぶ大記録だ。過去2年間、辛酸をなめ続けてきたハルク・プロと高橋が、鈴鹿8耐のタイトル奪還に挑む。