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ブリーフ&トランクス、満月の日に『おまんげつNIGHT』開催 “プロのエンタメ”で会場沸かせる

2017年07月14日 17:22  リアルサウンド

リアルサウンド

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 惜しまれつつ2000年に解散するも2012年から活動再開した、伊藤多賀之(Vo / Gt)と細根誠(Vo)によるデュオ・ブリーフ&トランクス。5月17日に9thアルバム『手のひらを満月に』をリリースした彼らが、アルバムタイトルにちなんだ主催イベント『おまんげつNIGHT~vol.1~』を7月9日青山RiZM にて開催した。同イベントは毎月“満月の日”にゲストを迎えて行なうもので、今回はその第一弾としてINGRY’Sが登場。


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 まずは伊藤と細根がステージに現れると、1stアルバム『ブリトラ』のディレクターをINGRY’S・永島浩之が務めたことに触れ、INGRY’Sをステージへ呼び込む。当時の思い出を振り返り、「メッセージ性のある曲を」と4人で玉置浩二「田園」をカバー。永島がサビの歌詞を替えて歌いながら笑いを誘い、ステージは幕を開けた。


 INGRY’Sは「先にやって潰します!」(永島)と冗談を飛ばしつつ、爽やかな「NEW SONG」、伊藤の好きな曲だという「早足の日曜日」など代表的な曲を次々と披露。永島の力強い歌声と前島正義の明るく真っ直ぐなボーカルが重なり合い、会場を盛り上げていく。途中、「事件」「団地妻」などワンコーラスのみの曲を披露するコーナーもあり、遊び心溢れるパフォーマンスを見せた。一方でギターをかき鳴らし、激しく歌う「いい人」や、2人の歌唱力の高さを感じさせる「チクタク」なども取り入れたセットリストで、早くも会場は熱気に包まれた。


 その後ステージにブリーフ&トランクスが登場し、再び4人でのトークへ。永島は1stアルバム『ブリトラ』を振り返ると「どうしても良いものにしたかった」と言い、1フレーズに4時間もかけたことを明かした。伊藤は「共演できて嬉しい」と素直に喜びを示し、「ミュージシャン的に聞きたいこと」と言いながら「好きな食べ物は?」と的外れとも言える質問をするなど、先輩であり兄のような永島と共通する笑いのセンスを感じさせた。


 続いてブリーフ&トランクスのライブがスタート。細根の手拍子とともに「ひとりのうた」、デビュー曲「さなだ虫」を歌唱。そして伊藤の目に見えない“背後霊”たちがギター、ベース、ドラム、キーボードを務める(伊藤曰く、録音してきたわけではない、とのこと)、バンドセットによる「逆に」「虫女」へ。さらに伊藤が「自己満足に近いんですが」と前置きしつつ、FoolyouS(INGRY’Sの後身デュオ)の中で一番好きな曲だという「ひでえよ」を歌唱。コミカルなイメージの2人だが、真剣に曲と向き合い歌う姿からは永島と前島へのリスペクトを感じた。


 その後いかにも“ありそう”と思ってしまうほどリアルな歌詞の「定食屋」、そして「分かりやすいラブソングを」と切ないバラード曲「月の裏側」を披露し、表現力の豊かさを見せつけた。そして「ぶち上げていきましょう!」と代表曲のひとつ「ズッキーニ」で細根がタンバリンを手に観客とのコール&レスポンスを楽しむと、続く「ゴールデンボール」ではシンガロングが起きる場面も。本編最後の「まんげつ」では観客が曲に合わせてサイリウムを振るサプライズが。


 ライブ中、MCで伊藤はサイモン&ガーファンクルから名前を取ったことを明かしつつ、「いかに身近なところを楽しく歌うか」が自分たちのコンセプトだと語った。この日のセットリストにも「さなだ虫」や「ズッキーニ」といった身近でありながらあまり取り上げられないテーマの楽曲が多く、「人と同じことを歌いたくない」(伊藤)という彼らのこだわりを感じた。


 そしてアンコールでは4人全員がステージに登場。永島は「細根、成長したなぁ!」と感慨深げにコメントし、“先輩”らしい表情に。4人で「笑おう!」(INGRY’S)、「青のり」をセッションし、ライブは終了。伊藤はライブ中、プロとそうでない人の違いにMCを挙げ「MCも含めてエンターテインメント」と語っていた。この日は4人の信頼関係があってこそ出来る掛け合いも多く見られ、観客の笑いが絶えない、まさにプロによる“エンターテインメント”と呼べる公演だった。


 次回はイガグリ千葉(仙台貨物)を迎えて8月8日に開催される『おまんげつNIGHT』。どんな“エンターテインメント”が観られるのか、楽しみにしたい。(村上夏菜)