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松居一代さん、止まらない「YouTube動画」投稿…削除対象にならないのか?

2017年07月12日 12:43  弁護士ドットコム

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離婚調停中の夫・船越英一郎さんについて、YouTubeやブログなどを通じて日々、発信を続ける女優の松居一代さん。2人の間に実際のところ何があったのかは定かではないが、その内容をめぐり、ブログを運営する「サイバーエージェント」社が松居さんに対し、名誉毀損にあたる部分の記事の削除を要請した。


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サイバーエージェント社によれば、船越さんの所属事務所からの要請を受け、「名誉毀損にあたるブログ記事について、アメブロの利用規約に則り、松居さまご本人様への該当記事の削除依頼を行いました」という。また、名誉毀損にあたる部分(該当記事)を削除しない場合は、「『ブログ閉鎖』ではなく、『該当記事の削除』をさせていただく場合がある旨をご連絡させていただきました」という。その後、該当記事は松居さん側は対応した。


しかし、気になるのは、ブログよりも詳細を語っているYouTubeの動画だ。明らかな権利侵害が起きているようにも見えるが、YouTube側に、船越さんは削除要請できるのか? また、どのように削除要請を進めていくことができるのだろうか。唐澤貴洋弁護士に聞いた。


●どう対応したらいい?

「YouTubeには、時々刻々と新しい動画が投稿されます。YouTube運営の人員も無数にいるわけではありませんから、投稿動画についての投稿前の事前審査はなく、投稿後に権利を侵害された人などからの通報等があったときに、はじめて審査対象になります。


審査に際しては、YouTubeはコミュニティガイドライン(以下、「ガイドライン」といいます)という自主ルールを定め、ガイドラインに反した投稿を削除対象にしています」


今回、松居一代さんが投稿された動画は削除対象になるのか。


「動画のうち、松居さんの現在の夫である船越英一郎さんが罹患している病名、血液検査の数値等を公表している部分や、性的機能不全の有無やそれに関する薬剤の服用の有無、日常的に彼が視聴している動画の内容等を公表している部分は、一般的に書かれた本人が他人に知られたくない事実である可能性がありますので、『プライバシーの保護』に反する動画に該当し得ます。


また、『他人の個人情報の暴露』や『他人を侮辱するコメントの意図的な投稿』『他人に苦痛を与えるような否定的なコメントや動画』として、削除対象項目としての『嫌がらせやネットいじめ』にも該当しうるといえます。


さらに、『法律に関するポリシー』内の『名誉毀損』の動画にも該当しうるでしょう」


●第三者でも手続きはできるのか?

投稿動画が削除対象になりうるとして、どのような手続きを踏めば動画は削除されることになるのか。


「削除方法を検討する際、手続きをとれるのが、船越さんやその他直接の権利侵害を主張しうる方に限られるのか、それ以外の広く一般の第三者にも可能なのかが気になるところです。


YouTubeでは、動画が投稿されているページの『その他』オプションからの『報告』により、第三者からでもガイドライン違反の報告ができます。


ただし、この『報告』については非常に簡易な形式しか準備されていないことから、すべての『報告』をYouTube運営側が綿密に検討しているのかどうか、および実際に『報告』により削除がなされるかについては未知数だといえるでしょう。


この簡易な『報告』以外に、権利を侵害されたと主張する方だけが利用できる手続きとして以下のようなYouTube運営に対する通報手続きがあります」


●「ユーザーへの直接の連絡は、事態を悪化させることも」

手続きをする上で、注意すべき点はないのか。


「以上の手続きを利用する場合に注意が必要なのは、YouTube運営側が予定する手続きを踏まないと、削除対象の動画も削除してもらえない可能性があることです。たとえば動画が『プライバシー侵害』に該当するにも関わらず『名誉毀損の申し立て』の手続きで通報を行っても、削除処理を行ってもらえない可能性があるということです。


また、いくつかの手続きでは、YouTube運営側への報告の前に、動画を投稿したユーザーへの連絡をするよう勧められていますが、動画を投稿したユーザーへの直接の連絡は、当該ユーザーを感情的にしたり、嫌がらせの効果を実感させたりする効果を招き、事態を悪化させかねませんので、この点も注意してください」


もし削除申請をしても、応じてもらえなかった場合はどうしたらいいのか。


「前述したようなYouTube運営への削除申請をしても、何の削除処理もなされない場合があります。この原因は、通報の手段が間違っているなどの理由で単にYouTube側に門前払いをされている場合と、YouTube運営側が審査した上でガイドライン違反に該当しないと判断した場合の2通りが考えられます。


門前払いの場合には、改めて別のルート(たとえば「プライバシー侵害」ではなく「名誉毀損の申し立て」によって申請してみるなど)で通報することによって削除される場合もあるでしょう。


門前払いではなく、YouTube運営側の審査でガイドライン違反に該当しないと判断されているような場合には、


1)書面(郵送)でのYouTube運営に対する削除請求による削除


2)裁判所に削除仮処分申請を行い、仮処分命令を出してもらうことによる削除


というような手段もあります。経験上、YouTubeのサイト経由での申請では削除処理がされなかったものが、以上の1の書面での請求を行った場合に削除できたこともありますので、削除されるまで粘り強く申請を行うことが重要です。


なおこれらの手続きは、YouTube運営側のガイドライン記載事由に限らず、あらゆる権利侵害を根拠に行うことができます。


以上のように、手段は複数ありますが、YouTube運営側も十分な人員を割いて削除を行っているとはいい難いことから、全てを綿密に検討することもできないと考えられ、簡単には削除に応じてもらえないことが多いです。そのことを肝に命じ、うまくいかなければ手段を変えてトライするなど粘り強く削除を求めていくことが重要だといえるでしょう」


【参考リンク集】



YouTubeのこのような手続き関連のページはなかなか複雑に作られているため、トップページからたどり着くのは困難かもしれません。ご参考までに代表的なものをご紹介します。


「プライバシー侵害の申し立て手続き」


https://support.google.com/youtube/answer/142443?hl=ja


「名誉毀損の申し立て」


https://youtube.owacon.moe/reportingtool/defamation?rd=1


「セキュリティや嫌がらせ行為に関する報告ツール」


https://youtube.owacon.moe/reportabuse


【取材協力弁護士】


唐澤 貴洋 (からさわ・たかひろ)弁護士


インターネット上の法律問題(名誉毀損・誹謗中傷への法的対応(投稿記事削除、投稿者の特定)など)を専門的に取り扱う。インターネット上の権利侵害の問題に対して強い警鐘を鳴らし、新たな立法の必要性を主張している。


事務所名   :法律事務所クロス


事務所URL:https://cross-law.jp/


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