FIA会長のジャン・トッドは、F1アゼルバイジャンGPでルイス・ハミルトンと接触したセバスチャン・ベッテルへの裁定が比較的寛容だったことについては賛同している。しかしベッテルが同じ過ちを繰り返した場合には、重大な結果になるだろうとの意見を示した。
バクーでのベッテルはセーフティカー中にハミルトンと接触した件で、10秒ストップのペナルティと、3点のペナルティポイントを科せられた。ベッテルは7月3日にFIAから呼び出されたものの追加の制裁は受けておらず、後に自身の行為を後悔しているとの内容の正式な謝罪文を発表した。
トッドはオーストリアGPのパドックで、Sky Sports News HQのクレイグ・スレーターの取材を受け、以下のように答えている。
「セーフティカー後のリスタート前、セバスチャン・ベッテルとルイス・ハミルトンの間で受け入れ難い事故が起きた。このときにスチュワードはベッテルに10秒ストップのペナルティを与えている。これによって彼は4位まで順位を落として優勝のチャンスを失ったことになり、かなり厳しい裁定だった」
「我々は何が起きたのかを、より深く理解すべきだと考えた。それでスポーツ部門の副責任者であるグラハム・ストッカー、レースディレクターのチャーリー・ホワイティング、セーフティ部門責任者(ローレン・メキース)に、セバスチャンと話をして事態を正しく把握するように頼んだのだ」
「その後に私も彼に会い、これ以上の制裁を与えないことが決まった。我々の決定が正しくあることは、重要なことだ。またルイスに関しても、あの出来事については彼に責任がないということが明らかになった」
FIAはベッテルに対し、バクーでの行為が繰り返された場合には厳しい制裁を科すと警告。またベッテルは昨シーズンのメキシコGPにおいて、無線でホワイティングに対して暴言を吐いた件でもFIAから警告を受けている。これについてトッドは、以下のように説明した。
「メキシコでの件は、まったく異なるタイプの違反だ。セバスチャンはたまに自身のコントロールを失うことがある。私も過去にドライバーを走らせる立場だったことがあるが、彼らは非常に緊迫した状況に置かれている」
「だからといって何をしても良いということにはならないが、彼らの状況をよく理解してやらねばならないと考えている。机に向かいながら、決定や判断を下すのはとても簡単なことだ。けれども人間には感情があるということを、受け入れなければならない」
「(メキシコGPの件は)まったく異なる問題ではあるが、セバスチャンは非常に厳しい警告を受けた。彼は状況を把握しているが、それほどの過ちを犯すほどに感情的になっていたんだ」
「彼は大きな間違いを犯したことを、徐々に理解していった。少なくとも私に対しては、あのようなことは二度と起きないと約束してくれたよ」