Monster Energy NASCAR CUP SERIES第18戦 Quaker State 400 モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第18戦ケンタッキー
マーティン・トゥルーエクス・Jr.が今季3勝目!
トヨタはケンタッキーの週末3カテゴリーを全制覇
ケンタッキーで3シリーズ全てが開催。カップ・シリーズではカイル・ブッシュとの首位争いから独走態勢となったマーティン・トゥルーエクス・Jr.が、最後の“オーバータイム”も制し今季3勝目を挙げた。
エクスフィニティ・シリーズではカイル・ブッシュが今季2勝目。トラック・シリーズではクリストファー・ベルが今季3勝目を挙げ、トヨタは近郊に巨大な自社生産工場を持つケンタッキーで、3カテゴリー全制覇を果たした。
Monster Energy NASCAR CUP SERIES
第18戦 Quaker State 400
開催日:7月8日
マーティン・トゥルーエクス・Jr.が今季3勝目!
4台のトヨタ・カムリがトップ6フィニッシュ
7月8日(土)、米国中東部ケンタッキー州スパルタのケンタッキー・スピードウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第18戦「Quaker State 400」が開催された。
ケンタッキーにはトヨタにとって世界最大となるジョージタウン工場があり、市販車のトヨタ・カムリが生産されている。トヨタ・カムリにとってはホームとも言える地である。
ケンタッキー・スピードウェイは2000年開設と比較的新しいコース。開設当初よりトラック・シリーズとエクスフィニティ・シリーズは行われてきたが、カップ・シリーズは2011年からの開催。以来6戦が行われてきたが、トヨタ勢はうち3勝。カイル・ブッシュが2勝、マット・ケンゼスが1勝を挙げている。
今季トヨタ勢はステージでの勝利は挙げているものの、レースではマーティン・トゥルーエクス・Jr.の2勝のみ。カイル・ブッシュ、ケンゼスらの初勝利に期待がかかった。
7日(金)に行われた予選は、本来3ラウンドでのノックアウト方式だが、終盤雷雨に見舞われたために2ラウンドで終了。そんななか、昨年末に路面再舗装がされた影響もあったか、カイル・ブッシュがこれまでのコースレコードを上回る好タイムで今季3度目のポールポジションを獲得。
トゥルーエクス・Jr.が僅差の2番手、3番手にケンゼスが続いた。デニー・ハムリンが5番手、ルーキーのダニエル・スアレツが9番手につけ、トヨタ勢は上位グリッドを占めて決勝へと臨んだ。
7日(金)のナイトレースとして予定されていたエクスフィニティ戦が悪天候のため8日(日)の昼間に順延されたことで、カップ戦との両レースに出場するカイル・ブッシュ、エリック・ジョーンズらは、300マイルレースを終えた同日に、ダブルヘッダーでカップ戦に出場することに。
カイル・ブッシュはこのエクスフィニティ戦をポール・トゥ・ウインで制し、エリック・ジョーンズも首位を争って3位と、勢いに乗ってカップ戦に臨むこととなった。
8日(土)午後7時50分、1.5マイルオーバルを80周、80周、107周の3ステージ合計267周(400.5マイル:約640km)して競われる決勝レースがスタート。
ポールのカイル・ブッシュが序盤首位を逃げるが、2番手スタートのトゥルーエクス・Jr.も離されることなく、ステージ終盤の67周目にカイル・ブッシュから首位を奪うと、ステージ1を制覇。カイル・ブッシュが2位、ケンゼスが6位、ハムリン7位、エリック・ジョーンズが8位に入った。
ステージ2は再スタートで首位に立ったカイル・ブッシュが40周以上に渡って首位を快走。その後方でトゥルーエクス・Jr.とケンゼスが2位を争ったが、このバトルを制したトゥルーエクス・Jr.はふたたびカイル・ブッシュを攻め、2台が抜け出しての首位争いに。
トゥルーエクス・Jr.は133周目にカイル・ブッシュをかわし、ステージ2も制覇。カイル・ブッシュはステージ2までの160周中112周で首位を走行しながら、両ステージともに2位。ステージ2はケンゼスが3位、エリック・ジョーンズが5位、ハムリンが8位に入った。
このステージ中に、トゥルーエクス・Jr.は今季最初となる1000リードラップ(首位走行)を達成した。
ステージ3は全くイエローコーションの出ない展開に。ステージの再スタート直後こそピット戦略で他の車両が首位に立ったが、7番手スタートのトゥルーエクス・Jr.が一気に順位を上げ、4周後の170周目に首位を奪還。その後は後続との差をどんどん広げていき、200周目には10秒以上に。
イエローコーションが出なかったため、残り50周を切ったあたりからグリーンフラッグ下で各車ピットイン。ここで一旦首位は譲ったものの、全車がピットを終えるとトゥルーエクス・Jr.が首位に復帰。11秒差の2位にカイル・ブッシュが続いた。
その後もトゥルーエクス・Jr.の独走は続き、249周目には10位を走行していたケンゼスも周回遅れに。2位との差も15秒まで開き、このまま圧勝かと思われた残り3周、他車のエンジンブローによって、まさかのイエローコーション。
15秒もの大差は帳消しとなり、レースは延長、最後の2周の“オーバータイム”で決されることとなった。
このコーションで、首位のトゥルーエクス・Jr.はピットに入らない判断をしたが、後方勢は一斉にピットへ。トゥルーエクス・Jr.は40周も走行したタイヤのハンデを背負って再スタートに臨むこととなった。
再スタートではトゥルーエクス・Jr.が好ダッシュを決め、その後方でカイル・ブッシュ、ハムリン、エリック・ジョーンズらがバトルを展開。
しかし、ファイナルラップに入った直後、周回遅れながら10位につけていたケンゼスがスピン。その直後12位のスアレツが巻き込まれ、多重クラッシュとなった。レースはイエローコーションが出され、そこで順位凍結。トゥルーエクス・Jr.が逃げ切り、全ステージ制覇での今季3勝目を挙げた。
ハムリンが4位、カイル・ブッシュが5位、エリック・ジョーンズが6位に入った。今レースの全274周中、トゥルーエクス・Jr.が最多の152周、カイル・ブッシュが112周で首位を走行。トヨタ以外の車両が首位を走ったのは僅か10周という、トヨタ・カムリの強さを見せたレースとなった。
次戦第19戦は7月16日(日)、米国北東部ニューハンプシャー州ロードンのニューハンプシャー・モーター・スピードウェイで行われる。
ドライバー マーティン・トゥルーエクス・Jr.
「(独走していた)後半戦は常にコーション発生を恐れていた。あと30周、20周、10周、とカウントダウンしていって、残り僅かな周回数でのコーション発生だった」
「“オーバータイム”でのコーションラップ中、自分を除いて後続が全員ピットへ向かったときは、正直なところ終わったと思ったが、幸運にもリスタートで後続を押さえて勝つことができた。信じられない。昨年も同じように優勝を狙ったが燃費戦で届かなかったので、雪辱を果たせた。ここで勝てて最高の気分だ」
NASCAR XFINITY SERIES
第16戦 Alsco 300
開催日:7月8日
カイル・ブッシュがポール・トゥ・ウインで今季2勝目
7月8日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第16戦「Alsco 300」がケンタッキー・スピードウェイで開催された。
当初決勝レースは7日(金)に予定されていたが、スタートの直前から大雨に見舞われ、レースは翌日に順延。8日(土)、ナイトレースとして行われるカップ・シリーズの前にダブルヘッダーとして正午から行われることとなった。
8日(土)正午過ぎに1.5マイルオーバルを45周、45周、110周の3ステージ合計200周(300マイル:約480km)して競われる決勝レースがスタート。
今季シリーズ参戦5戦目にして4度目のポールポジションからスタートしたカイル・ブッシュと、2番手スタートのエリック・ジョーンズ首位争いを繰り広げ、6周目の再スタートでエリック・ジョーンズが首位を奪取。
カップ・シリーズのレギュラーでエクスフィニティにはともにスポット参戦ながら、今季それぞれ2勝ずつを上げているトヨタのコンビが序盤戦を支配した。
ステージ1はエリック・ジョーンズが制し、カイル・ブッシュが2位。ステージ2ではカイル・ブッシュがハンドリングに苦しみ、エリック・ジョーンズが2位、カイル・ブッシュが3位。
しかし、最終ステージ3に入ると、カイル・ブッシュが速さを取り戻し、4位からの再スタート後、一気に首位を奪還。133周目にピット戦略で首位に立ったエリック・ジョーンズが35周にわたってレースをリードしたが、166周目にこの日8度目、最後となったイエローコーションが出されると、カイル・ブッシュは唯一ピットに入らず首位へ。
そのまま再スタートも決めて逃げ切り、今季2勝目を挙げた。この勝利により、カイル・ブッシュは自身の持つエクスフィニティ・シリーズでの通算勝利記録を88に伸ばすこととなった。
次戦第17戦は7月15日(土)、ニューハンプシャー・モーター・スピードウェイで行われる。
ドライバー カイル・ブッシュ
「ビクトリーレーンに立つのはいつでも良い気分だ。今季はなかなか満足な結果が得られていないのだが、この勝利が変化へのきっかけになってくれればと思っている」
「我々のトヨタ・カムリはシーズンを通してずっと速さを持っている。今大会では、初めて“ラウディ”(カイル・ブッシュの愛称。コラボレーション製品が発売されている)ペイントの車両とともにビクトリーレーンに上がれて嬉しい」
NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第10戦 Buckle Up in Your Truck 225
開催日:7月6日
クリストファー・ベルが今季3勝目!
NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第10戦「Buckle Up in Your Truck 225」が7月6日(木)にケンタッキー・スピードウェイで開催された。
6日(木)決勝前に予定されていた予選は雨のためにキャンセルとなり、スターティンググリッドはオーナーポイントで決定。
決勝は午後7時半からの予定であったが、雨が止まないためスタートが順延され、予定よりも3時間以上遅れた午後10時39分に1.5マイルオーバルを35周、35周、80周の3ステージ合計150周(225マイル:約360km)して競われる決勝レースがスタートした。
オーナーポイント順のスターティンググリッドのため、2番手以降に続いたトヨタ・タンドラ勢が首位を追い、グラント・エンフィンジャーが26周目に首位を奪取。
一方、今季既に2勝を挙げ、ランキング2位に付けるクリストファー・ベルは最初のイエローコーション時、ピット作業のミスで23位に後退。追い上げようとした26周目にはスピンを喫するなど厳しい序盤戦となった。
ステージ1は地元ケンタッキー出身で5番手からスタートしたベン・ローズが制し、ライアン・トゥルーエクスが2位、マット・クラフトンが3位、エンフィンジャーが4位とトヨタ勢が上位を占めた。
自身のチームの4台目、今季2戦目となるゼッケンでの出走のため、27番手と後方スタートを強いられたカイル・ブッシュは、追い上げたものの中盤のピットでタイムをロス。ステージ1は14位で終えた。
地元で嬉しいステージ初制覇を果たしたローズだったが、ステージ2の再スタートが切られた直後にスピンを喫し、壁にクラッシュ。これにチームメイトのエンフィンジャーが激しく突っ込み、ともにレースを終えることとなってしまった。
再スタート後は、ステージ1を9位で終えたあと、ピット作業でポジションを上げた18歳のノア・グラッグソンが首位に立ち、チームオーナーであるカイル・ブッシュを抑えてステージ2を制覇。グラッグソンにとっては初のステージ制覇となった。
カイル・ブッシュが2位。マイアット・スナイダーが5位、そして追い上げてきたベルが6位と、カイル・ブッシュ・モータースポーツがトップ6に4台入る速さを見せた。
ステージ2を制したグラッグソンだったが、ステージ3の再スタートで他車と接触してスピン、ポジションダウン。
変わって首位に立ったスナイダーを76周目にかわし、ベルがこの日初めて首位に立つと、その後はベルが首位争いを展開。
119周目、残り32周での再スタートが切られたあとは、テール・トゥ・ノーズで追うブランドン・ジョーンズ(シボレー)とのマッチレースとなった。
再三にわたって猛追を受けながらも凌ぎきったベルが0.187秒差でトップチェッカー。シリーズ最多となる今季3勝目を挙げた。
グラッグソンが5位、カイル・ブッシュが6位、パーカー・クリガーマンが7位、クラフトンが8位に入り、トヨタ・タンドラは5台がトップ10フィニッシュを果たした。
次戦第11戦は7月19日(水)に米国北部オハイオ州ロスバーグのダートオーバル、エルドラ・スピードウェイで開催される。
ドライバー クリストファー・ベル
「信じられないほどタフだったが、素晴らしいレースだった。プラクティスは順調だったが、決勝では私のミスでスピンしてしまった。コースはグリップが高く、追い抜きは困難だった」
「クルーチーフが素晴らしい判断で良いポジションにキープしてくれて、それが重要なキーだった。2位に浮上してから、首位を抜くのは本当に大変だったし、後方に落ちたときもポジションを上げるのは大変だった」
「自分が首位に立ってからは、彼(ブランドン・ジョーンズ:シボレー)に激しく攻められての神経戦となったが、自分が2位で首位を追っていたときの大変さを思いだして必死にポジションを守った」
「クリーンなバトルをしてくれた彼に感謝しているし、我々のトヨタ・タンドラは本当に速かった。格別な勝利だ。完璧な車両を仕上げてくれたTRDやチーム、関係者全員に感謝したい」