2017年07月11日 09:43 弁護士ドットコム
特定商取引法の政令が改正され、今後、美容医療でもクーリングオフが可能となった。6月27日に閣議決定され、今年(2017年)12月1日に施行する。エステサロンで結んだ長期契約は解約できたが、医療機関でおこなう同様のサービスは対象になっていなかった。医療脱毛のクーリングオフや中途解約ができないため、消費者保護に欠けるとの問題が指摘されてきた。
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国民生活センターには昨年、約2000件の美容医療に関する相談が寄せられるなど、トラブルは数多く発生していた模様だ。今回の法改正により、どのような影響があるのか。また消費者問題に詳しい弁護士はどのように評価しているのだろうか。上田孝治弁護士に聞いた。
「従来、美容医療は、皮膚や身体に医学的処置を施すことから医療行為であって、単なる皮膚の美化などのいわゆるエステではないとして、特定商取引法の特定継続的役務提供(エステ、語学教室、学習塾など)の規制を受けていませんでした。
ところが、実際には、美容医療に関して、緊急性がないにも関わらず強引に急いで契約させたり、契約内容やサービス内容の説明が適切になされていなかったり、虚偽・誇大広告により店舗へ誘導させるなどのトラブルが多くありました。
そこで、今回の法改正により、美容医療のうち一定の範囲のものについては、特定商取引法の特定継続的役務提供として、エステなどと同様の規制を受けることになりました。
これにより、美容医療の契約をした場合でも、契約書面の交付から8日以内であれば無条件に契約を解除できるクーリングオフや、契約期間の途中で中途解約をすることで、まだ提供を受けていないサービスの対価を支払わなくてもよいといった契約者を保護する様々なルールが適用されることになります」
残された課題はないのだろうか。
「今回、規制対象となった美容医療は、脱毛、にきび・しみ・刺青などの除去、シワ・たるみ取り、脂肪の溶解、歯の漂白の5種類に限られています。さらに、サービス提供期間が1か月を超え、支払総額も5万円を超えるものとされていますので、特定継続的役務提供にあたらない美容医療もたくさんあることになります。
一般の医療については、緊急に治療を行う必要性が認められるケースが多くあるのに対して、美容医療についてはそのような緊急性はほとんどありません。今回、美容医療の一部が規制対象にはなりましたが、そもそも、美容医療の契約をすること自体、ゆっくりと慎重に考えることが何よりも重要です」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
上田 孝治(うえだ・こうじ)弁護士
消費者問題、金融商品取引被害、インターネット関連法務、事業主の立場に立った労働紛争の予防・解決、遺言・相続問題に特に力を入れており、全国で、消費者問題、中小企業法務などの講演、セミナー等を多数行っている
事務所名:神戸さきがけ法律事務所
事務所URL:http://www.kobe-sakigake.net/