2017年F1第9戦オーストリアGP決勝でトップ10に入ったドライバーたちがレースを振り返った。
■メルセデスAMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム
バルテリ・ボッタス 決勝=1位
今日のシャンパンはおいしかった! もちろん初優勝は特別なものだけど、僕にとってはまだ2回目の優勝だからやはり感動的だ。ポールから優勝をつかんだから、キャリアベストの週末といっていい。この調子を保っていきたい。
間違いなく完璧なスタートだった。キャリアのなかで最高のスタートを決めたんだ。終盤、セバスチャン(・ベッテル)がすぐ後ろまで来ていたことを考えると、あのスタートを決めるのが重要だったといえるだろう。
今週末はマシンは好調だったから、うまくやれると分かっていた。セカンドスティントでは5周走った時点で左リヤにひどいブリスターができて、走りづらくなった。パフォーマンスがどんどん低下したけれど、セバスチャンからポジションを守らなければならない状況は前にも経験済みだ。集中を切らさず、ミスをひとつもしないで走り切った。もっと長い間セバスチャンを抑えなければならなかったとしたら、きつかっただろうね。チェッカーフラッグを見た時はうれしかった。
僕にはチャンピオンの可能性が残されている。タイトルを賭けた戦いの中にいるんだ。これからもっともっと力をつけていく。人は常に成長していくものだからね。
■スクーデリア・フェラーリ
セバスチャン・ベッテル 決勝=2位
ウイナーとの差がたった0.5秒だったとき、どういう気持ちになると思う? 最後の数周はかなり差を詰めていた。彼(バルテリ・ボッタス)は苦しんでいるという情報をもらっていたから、とにかくプッシュし続けた。あと1周あればよかったのに。上り坂で彼はかなり苦労していたからね。
(終盤、周回遅れのセルジオ・)ペレスを抜かなければならなかった。周回遅れのマシンを処理することで少し時間を失った。
もちろん勝ちたかった。それでもいい結果であることは確かだ。
彼(ボッタス)はスタートでフライングしたように僕には思えた。間違いないと思った。コクピットのなかから見ていて、そう思ったんだ。でも、それを判断するのは僕じゃない。
(FIAの調査により、ボッタスのスタート時のリアクションタイムは規則違反にはあたらない0.201秒だったと聞いて)そんなの信じられないよ!
スタートで彼の前に出ていたら、全然違うレースになっていたはずだ。終わったことだから、こんな話をしても無意味だけど。
■レッドブル・レーシング
ダニエル・リカルド 決勝=3位
残り数周となったときにルイス(・ハミルトン)が急に後ろから近づいてきた。彼とのギャップは保てそうだと思っていたが、終盤になって彼がすごい勢いで追いついてきたんだ。最後の2周、彼と戦って何としてもポジションを守らなければならなかった。本当にエキサイティングなレースになったよ。バトルは大好きだ。
このサーキットで僕らがドライコンディションのときに速さがあるとは、うれしい驚きだ。決勝の間、ほぼずっとセブ(ベッテル)の後ろを走っていた。金曜の彼のロングランは僕らより相当速かったから、今日、彼やメルセデスと同等のレースペースを発揮できるとは思っていなかった。
ルイスとバトルし、防御し、最終的に彼を抑えきって、前の位置でフィニッシュできるなんて最高の気分だ。今回も表彰台に乗ることができてすごくうれしい。表彰台の時間も楽しんだよ。
シルバーストンを2017年型F1マシンで走るのは最高の気分だろうから楽しみだ。イギリスのファンがたくさん来てくれるはずだしね。
■メルセデスAMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム
ルイス・ハミルトン 決勝=4位
厳しい週末だったけど、なんとかポジションを上げて、セバスチャン(・ベッテル)とのポイント差が拡大するのをできる限り抑えることができたから、それについてはほっとしている。
今日はマシンはすごく調子がよく、最初から最後までプッシュして走り、全力を出し切った。レース終盤にはマシンのパフォーマンスを絞り出して走った。とはいえ、ダニエル(・リカルド)とのバトルでは寛容すぎたと思う。彼に対してスペースをたっぷり残したんだ。次はこんな風にはしない。
一度チャンスがあったんだけど、うまく決められなかった。リスクとのバランスを考えなければならないからね。
平均的な走りだったが、ベストは尽くしたつもりだ。自分の力をすべて出し切った。
セバスチャンとのポイント差がさらに広がってしまったけれど、まだレースはたくさん残っている。諦めずに戦い続けるよ。
バルテリ(・ボッタス)は週末を通してすごくいい仕事をした。今日のウイナーにふさわしい。彼はいまや僕から15点差のところまで迫ってきているから、今のタイトル争いに完全に加わったといっていいだろう。
次のシルバーストンが楽しみだ。数日あるから、今週末のことから気持ちを切り替えられる。ホームグランプリでファンに会うのが楽しみだ。新しいスタートを切るつもりだよ。シルバーストンをシーズン後半の新たな出発点にしたい。
■スクーデリア・フェラーリ
キミ・ライコネン 決勝=5位
レース序盤はマシンバランスに少し苦労した。最初に履いていたタイヤセットにはてこずったけど、その後、どんどんよくなっていった。2セット目は悪くなかった。
最終スティントの序盤はマシンの感触がすごくよくて、速さもあった。でもそのころにはトップとの差が大きくなりすぎていて、追いつくことはできなかった。タイヤを使い込んでいくにつれて、当然ペースは遅くなってきたけど、いいラップタイムを刻むことができたし、バランスは改善していったんだけどね。でも全体的に楽な週末ではなかったよ。
■ハースF1チーム
ロマン・グロージャン 決勝=6位
本当に力強いレースができた。オープニングラップはとてもうまく行って、束の間とはいえバトルを楽しめたよ。ルイス(・ハミルトン)とキミ(・ライコネン)には抜かれた後は、何とかセルジオ(・ペレス)を抑え込むことに専念した。今日は最初から最後までプッシュし続けたが、これこそが僕らの望んでいたレースだ。みんなが素晴らしい仕事をしてくれて、素晴らしいレースになった。
この週末を通じて、クルマの仕上がりには満足していた。まだ改善すべきところはいくつかあるものの、今日の僕らはトップチーム以外では最速だったからね。クルマを機能させるために必要なものが全て揃えば、僕らにはかなりの競争力があることを証明できたと思う。あと少しだけ足りないのは、あらゆる要素をいつもウインドウ内で機能させ続けるための経験だ。でも、チームができてからまだ30回しかレースをしていないのだから、足りないものがあるのは仕方がない。次のレースを楽しみにしているよ。シルバーストンでも楽しい戦いができそうだ。
■サハラ・フォース・インディアF1チーム
セルジオ・ペレス 決勝=7位
7位フィニッシュはチームにとって素晴らしい結果であり、この週末がどれほど難しいものだったかを考えれば、みんなの努力にふさわしい報償だった。プラクティスでは苦戦しながら、予選とレースではとてもいいパフォーマンスを発揮して、ポイントを持ち帰ることができたのだから。
僕にとっては、あまり楽なレースではなかった。スタートは良かったものの、ターン1でエステバンとルイス(・ハミルトン)に抜かれてしまったんだ。でも、ありがたいことに、ターン3で2台をパスしてスタート時点の順位まで戻すことができた。最初のスティントではフロントタイヤのひどいグレイニングに悩まされたけど、ピットストップの後はかなりいいリズムで走れた。ただ、(ロマン・)グロージャンにアタックするところまでは行けなかったね。彼は僕とほぼ同じペースで走っていて、差を詰めていくことができなかったんだ。
全体としては難しい週末だったが、何とかうまくリカバーできたし、この結果には満足していいと思う。明日からはシルバーストンのレースに焦点を移す。あのカレンダー屈指の高速コースで、2017年型マシンを走らせるのが待ちきれないよ。
エステバン・オコン 決勝=8位
ポイントを獲得できたことに満足している。チームとしても力強いレースができた。僕はいいスタートを決めて2つほど順位を上げたんだけど、ルイスの後ろでターン3に入ったところで行き場がなくなり、スロットルを戻さざるをえない状況に陥って失速してしまった。
それからは、とにかくドライビングに集中して、安定したラップタイムを刻むことを心がけた。戦略に関しては、必ずしもあれが正解ではなかったと思う。最初のストップの後、(フェリペ・)マッサに対してずいぶんタイムを失ったからね。あの時の状況をもう一度見直して、別のやり方がなかったかどうか確認する必要がある。
決して楽な週末ではなかったが、ハードワークを続けた結果、完璧ではなかった部分はあるとしても、ポイントを持ち帰ることができてうれしい。僕らはチームとしての高い能力を示せたと思う。
■ウイリアムズ・マルティーニ・レーシング
フェリペ・マッサ 決勝=9位
9位でお祝いというわけにはいかないけど、17番手スタートだったことを考えれば、僕にとっては素晴らしいレースだった。スタートはうまく決まり、ターン1でのアクシデントも切り抜けて、一気に何台か抜くことができた。1周目から順調で、予選と比べればペースも文句なしだったよ。予選でどうしてあんなことになったのか理解に努める必要があるが、決勝では大丈夫だったのだから、また今回のようなスターティングポジションに甘んじることはないはずだ。
ちょっと残念だったのは、レース終盤に(エステバン・)オコンを抜けなかったこと。彼の後方にいると、高速コーナーでかなりグリップを失ってしまうんだ。それに彼はストレートが速かったので、オーバーテイクは難しかった。でも、今日の自分のレースには満足しているし、2台揃ってポイントを獲れて良かった。
ランス・ストロール 決勝=10位
レースでは何が起きても不思議はないこと、そして土曜日が最悪でもあきらめてはいけないことが証明された。18番手からスタートして10位でフィニッシュし、1ポイントを獲れたことを、とてもポジティブな結果と受け止めている。
いいスタートを切って、いくつか順位を稼げたとはいえ、その後は決して楽なレースではなかった。でも、レースが始まってからは悪くない位置にいると思ったので、とにかく集中を切らさず、ミスをしないように心がけ、レース終盤に向けてブレーキとタイヤをセーブしながら走った。最初は(ケビン・)マグヌッセン、終盤には(ジョリオン・)パーマーにプレッシャーをかけられたけど、ここではオーバーテイクは難しいことは分かっていたから、とにかく防戦に努めて守りきった。
この週末の予選で起きたことについては、原因を究明して次のレースまでに修正を試みる必要がある。次のレースは、チームのホームグランプリでもあるシルバーストンだから、すごく楽しみにしているよ。