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『ウチの夫は仕事ができない』は錦戸亮の新たな代表作になる? 第1話レビュー

2017年07月09日 10:22  リアルサウンド

リアルサウンド

 7月8日にスタートしたドラマ『ウチの夫は仕事ができない』(日本テレビ)の、小林司(錦戸亮)はそのタイトル通り仕事ができない。妻の小林沙也加(松岡茉優)にとって、司は将来有望な期待の社員、理想の夫のはずであったが、司の忘れた携帯を届けに会社を訪れた際に、夫が「ニモちゃん」と呼ばれるお荷物社員であることを知ってしまう。司は異動して初めての仕事を任せられるも、上司の望む結果を出せず、退職願いを鞄に忍ばせたサボリーマンとなってしまうのだった。


(参考: 松岡茉優が躍進した理由は? ドラマ、バラエティで見せる“異なる顔“を分析


 『ウチの夫』で最も映えるのは、演技の中の錦戸の表情だ。司は、仕事ができない。けれど、それには理由がある。仕事よりも大事と思うものがあるからこそ、仕事ができないと見られてしまうのだ。司が大事と思ったものは、クライアントの身内の不幸。それを知った上で、司は仕事の依頼が出来ず、失敗してしまっていた。人間的に温かく、人のことを思うことができる。それが司の魅力だ。沙也加と出会った時から、司は変わらず優しい人物だった。そんな司の人柄を表しているのが、錦戸の表情なのである。


 仕事で失敗して帰ってきた司は沙也加の顔を見て、目を泳がせる。親切にした弁当屋に「正直になること」とアドバイスを受け、沙也加の弁当を食べながら涙を流す司。極め付けは、沙也加に全てを打ち明けた司が、その優しすぎて損する姿を彼女に認められた時の司の笑顔。ドラマのキャッチコピーには、沙也加から見た「可哀想で可愛い私の夫」とあるが、2人がなんでも話せる夫婦を目指すことを誓った等身大の姿は、見るものにも“ほんのちょっとの勇気”をくれた。
 先日、『another sky-アナザースカイ-』(日本テレビ系)に出演していた錦戸は、32歳という今の自分を省みた上で、仕事に対する姿勢についてこう話していた。「『この人しかできひんみたいな事の方が大事かな』とも思うから。でも、やっぱりそれって1回結果出してる人が言える事だと思うんですよね。『錦戸くんが言うなら』って思われるような僕にならないといけない」。関ジャニ∞として、ジャニーズとして、常に結果を出してきた錦戸亮と小林司は一見違うタイプであるが、表情豊かな優しい錦戸の演技を見ると、その印象も変わってくる。『ウチの夫』が錦戸の言う、“結果”としての代表作になるのではないかと思わせるのだ。


 『ウチの夫』を経て、錦戸の一皮剥けた俳優としての姿が見れることだろう。


(渡辺彰浩)