2017年07月07日 10:53 弁護士ドットコム
狭い道に違法駐車している車を何とか避けて通ろうとした結果、ぶつけてしまったーー。そんな経験はありませんか。
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弁護士ドットコムの法律相談コーナーにもそのような相談が複数寄せられています。ある投稿によると、違法駐車の車は家の前の道路(道幅4メートル)に停まっていましたが、道幅が半分になっていたため、駐車場から出る際に見づらく、ぶつかってしまったといいます。
他のQ&Aサイトにも、「駐停車禁止場所に路駐していた車を避けられず、相手の車の右後方に15センチ四方くらいの傷をつけてしまいました」といった投稿がありました。
違法駐車している車が原因で事故が起きた場合、そうでない場合と比較して、過失の割合は変わるのでしょうか。修理代を支払うことになった場合、違法駐車を理由に減額を要求することはできるのでしょうか。中川龍也弁護士に聞きました。
駐車車両に関連して生ずる事故の類型としては、
(1)駐車中の自動車に前方不注意の対向車や後続車が衝突するという典型的な場合
(2)駐車中の自動車を避けようとして進路変更した車に、前方からあるいは後方から進行してきた車が衝突する場合
(3)他車との衝突を避けようとした車がたまたま駐車中の自動車に衝突する場合
(4)何らかの原因でコントロールを失った車がそのまま駐車中の自動車に衝突する場合
(5)駐車中の自動車により道幅が狭められあるいは見通しが妨げられ、そのことが間接的に事故を誘発する場合
などがあります。
裁判例は、各類型ごとに違法駐車していた車の過失の評価を検討していますので、違法駐車の場合は一律に過失を何パーセント認めるという考え方を採用していません。
ご質問を頂いている内容は、主として(5)の類型かと思われますので、今回はその点に絞ってご説明をいたします。
この場合に、違法駐車していた自動車に過失が認められるかどうかのポイントは、駐車していた自動車が通行しようとする車両の進路を妨げていたかという点にあります。
駐車車両があっても通行できるスペースが十分に確保されていたということであれば、そもそも通行する車両の前方不注視が甚だしいことになります。なので、たとえその駐車行為が違法であったとしても、それのみをもって過失が認定され、損害賠償金額が減額されるということにはなりません。
ただし、違法駐車していた自動車が通行するスペースを塞いでいた、車両の通行の危険を高めたという事情があれば、違法駐車していた自動車の運転手にも、10パーセント程度の過失が認められることがあります。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
中川 龍也(なかがわ・たつや)弁護士
立命館大学卒。平成22年弁護士登録(京都弁護士会所属)平成28年11月に中川龍也法律事務所を設立。主な取り扱い分野は交通事故(主に被害者側)事件。
事務所名:中川龍也法律事務所
事務所URL:http://nakagawa-lawyer.com/