WRC世界ラリー選手権でドライバーズランキングトップにつけるセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)は、リスクを避けた戦略を採ったことがWRC第8戦ポーランドでの表彰台獲得につながったと語った。
ポイントリーダーとしてラリー・ポーランドに挑み、デイ2は先頭走者として“掃除役”を務めたオジエ。ポーランドは連日、強い雨が降り続いていたこともあり、路面は泥状にぬかるんだ状態となっていた。
この路面コンディションが足かせとなり、オジエはデイ2終了時点でトップと35.1秒差の総合4番手につける。
翌日のデイ3は2度のパンクやスピン、マシンのフロントを破損するアクシデントなどがあり、総合4番手に留まったものの、トップとのギャップは1分32秒まで広がってしまう。
しかし、迎えた競技最終日のデイ4では、総合2番手を走っていたチームメイトのオット・タナク(フォード・フィエスタWRC)がクラッシュからリタイアしたことで表彰台圏内に浮上。そのまま走りきって総合3位を手にした。
また、ボーナスポイントが与えられるパワーステージのSS23ではステージ2位を獲得して、ドライバーズポイントに4点を追加している。
チームを率いるマルコム・ウィルソンは、オジエの粘り強い走りを賞賛。「難しい週末を過ごしたオジエが、総合3位を手にしたことは素晴らしい」とコメントした。
「以前から述べているとおり、彼の実力を過小評価してはいけない。それに、ここぞというタイミングでは全力を振り絞ってアタックする。そのおかげでポイントリーダーとして大会を終えることができた」
■オジエ「100%の自信がないまま、無理はしない」
オジエはWRC.comに対し、「僕たちにとっては難しいラリーだった。ただ、可能な限り多くのポイントを持ち帰ることができたから、全体的には満足している」と語っている。
「マシンをドライブしている時、“カミカゼアタック”のように無謀な走りはしなかった。僕は自分の感覚をなによりも優先するし、100%の自信がないまま無理はしない」
「深い轍ができて、驚くほど滑りやすい路面コンディションでは、速さを追い求めて余計なリスクを背負いたくはないんだ」
こう語ったオジエはラリー・ポーランド終了時点でもポイントランキング首位の座をキープ。しかし、大会を制したランキング2番手のティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)とは、11点まで差が縮まっている。
この状況にオジエは「確かにチャンピオンシップでのリードが減って、ポジティブな週末だったとは言えないよ。ただ、そこまで悪い状況でもない」と応じた。
「チャンピオン争いをしているライバルのうち、ふたり(ヤリ-マティ・ラトバラとタナク)が大量得点のチャンスを逃した。結果として、誰がライバルなのか明確になったんだ」
「今はつかの間の休息を楽しんで、次の(第9戦)フィンランドへ万全な形で臨みたい」