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TOYOTA GAZOO Racing 2017年NASCAR第17戦デイトナ レースレポート

2017年07月06日 13:02  AUTOSPORT web

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TOYOTA GAZOO Racing 2017年NASCAR第17戦デイトナ レースレポート
モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第17戦デイトナ
多重クラッシュ続発の荒れたレースでルーキーのエリック・ジョーンズが9位

 NASCARはデイトナで今季2度目の開催。リストリクタープレートレースならではの超接近戦で“ビッグ・ワン”と呼ばれる多重クラッシュが多発し、トヨタ勢は上位を争ったもののルーキーのエリック・ジョーンズによる9位が最上位フィニッシュとなった。

 雨天順延によりカップ・シリーズの直前に行われたエクスフィニティ・シリーズも終盤の“ビッグ・ワン”で波乱。ダコダ・アームストロングが自己最高となる3位でフィニッシュした。

Monster Energy NASCAR CUP SERIES
第17戦 Coke Zero 400
開催日:7月1日

多重クラッシュ続発の荒れたレースでルーキーのエリック・ジョーンズが9位
 7月1日(土)、米国南東部フロリダ州デイトナビーチのデイトナ・インターナショナル・スピードウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第17戦「Coke Zero 400」が開催された。

 NASCAR最大のイベントである開幕戦「Daytona 500」が行われるデイトナではカップ・シリーズ戦は年2戦行われる。開幕戦に続く2度目の開催は、アメリカの独立記念日に最も近い土曜日のナイトレースとして、開幕戦より短い400マイル(約640km)で実施。

 1周2.5マイル(約4km)と長いデイトナでは、タラデガと共にリストリクター・プレートと呼ばれる吸気量を制限する部品を装着し、最高出力を制限する。それでも最高速は300km/hを軽く越えるが、複数台が縦に連なって空気抵抗を低減する“ドラフティング”というテクニックが用いられる。

 このため、何十台もの車両が2列、3列で縦に連なったまま300km/h以上のハイスピードで走行することとなり、僅かな乱れから多くの車両を巻き込む多重クラッシュ“ビッグ・ワン”が発生することも多い。この“ビッグ・ワン”を避けながら上位を維持し、ファイナルラップに勝負を賭けるという非常に厳しいレースでもある。

 1日(土)午後7時59分、2.5マイルスーパースピードウェイを40周、40周、80周の3ステージ合計160周(400マイル)して競われる決勝レースがスタート。トヨタ勢は13番手のマット・ケンゼスを先頭に、序盤は中団グループを走行。ケンゼスがステージ1を9位で終えた。

 ステージ1終盤にピットインしたデニー・ハムリンとエリック・ジョーンズはステージ2を1-2位で再スタート。これに好調なケンゼスが続き、トヨタ・カムリがトップを争う展開に。

 序盤、ハンドリングに苦しむも調整が効を奏したカイル・ブッシュもこの上位争いに加わったが、他車に接触された際、フェンダーが変形しタイヤに当たったため、71周目にタイヤバーストしスピン。

 このスピンをきっかけに後続が次々と巻き込まれる“ビッグ・ワン”が発生し、これにマーティン・トゥルーエクス・Jr.も巻き込まれてしまった。

 カイル・ブッシュは車体にダメージを負うも、ピットクルーの懸命な作業により規定の5分以内に2周遅れながらもコース復帰。トゥルーエクス・Jr.はダメージが大きく、リタイアとなった。

 ステージ2は最後まで首位を争ったケンゼスが制し、自身2度目のステージウィン。ハムリンが2位となった。

 ステージ3は、ピットタイミングをずらしたルーキーのダニエル・スアレツが3位で再スタートを切ると、92周目には首位浮上。ケンゼスがこれに続きトヨタ・カムリの1-2体勢に。

 ステージ3の序盤は、数周毎にアクシデントが発生する荒れた展開となった。順位も目まぐるしく入れ替わる中、2周遅れとなっていたカイル・ブッシュは2回連続の“ラッキー・ドッグ”(イエローコーション発生時の周回遅れ最上位が1周取り戻せる救済措置)を獲得し、首位と同一周回に復帰した。

 僅かなポジション取りのミスで大きく順位が入れ替わるスーパースピードウェイのレースで、3ワイドでの激しいポジション争いが繰り広げられる中、ステージ3の中盤戦はケンゼス、スアレツ、ハムリン、エリック・ジョーンズの4台がトップ10をキープ。終盤へ向けて好ポジションでの走行を続けた。

 しかし、153周目、残り8周というところで首位争いの車両が接触し、激しくクラッシュ。5位走行から中団に順位を落としていたケンゼスは、この混乱を避けきれず、惜しくもレースを終えることになってしまった。

 6台が巻き込まれたこの“ビッグ・ワン”によりレースは赤旗中断。再開後、エリック・ジョーンズが7位、ハムリンが9位で残り3周での再スタート。

 しかし再スタート直後、3ワイドでの接近戦の中で、イン側のエリック・ジョーンズが中央列の車両に接触され、スピン。その直後にいたハムリンもバランスを崩した車両に接触され、スピンを喫することに。

 エリック・ジョーンズの車両ダメージは小さかったため、ピットに戻ってすぐコースへと復帰したが、ハムリンの車両はダメージが大きく、ここで戦線離脱となった。

 レースは延長され、最後の2周の“オーバータイム”に。首位と同一周回ほぼ最後列の20位で再スタートを切ったエリック・ジョーンズが、3ワイドバトルの中でみるみるうちにポジションをアップ。この日エクスフィニティとのダブルヘッダーで、合計1000km近くを走り切った21歳のエリック・ジョーンズが、トヨタ勢最上位の9位でチェッカーを受けた。

 次戦第18戦は7月8日(土)、米国中東部ケンタッキー州スパルタのケンタッキー・スピードウェイで行われる。

ドライバー エリック・ジョーンズ:
「浮き沈みの激しい夜だった。何度も上位に立ったが何度も後方にも下がった。全てが学習と挑戦のレースだった。スピンしたときは何が起こったか分からない。イン側に誰かがいたか、誰かがインに入ってきて、不運にもスピンしてしまったのだと思う。スーパースピードウェイでのトップ10フィニッシュは満足いく結果だ。この勢いで次戦に臨みたい」


NASCAR XFINITY SERIES
第15戦 Coca-Cola Firecracker 250
開催日:7月1日

雨天順延戦でダコダ・アームストロングが自己最高の3位フィニッシュ
 7月1日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第15戦「Coca-Cola Firecracker 250」がデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催された。

 当初6月30日(金)に2.5マイルオーバルを30周、30周、40周の3ステージ合計100周(250マイル:約400km)して競われる決勝レースのスタートが切られたが、スタートから11周を過ぎたところで降雨による赤旗が出されレースは中断。

 その後雨は強さを増し、翌日7月1日(土)の正午から再開されることとなった。これにより、1日(土)は昼からエクスフィニティ、夕方からカップ戦と、両レースを掛け持ちするドライバーにとっては1日2レースのダブルヘッダーに。

 トヨタ勢ではカップ・シリーズにフル参戦、今大会にスポット出場するエリック・ジョーンズとダニエル・スアレツが忙しい1日を過ごすこととなった。

 1日(土)正午過ぎにレースが再開され、ステージ1は終了したが、ステージ2開始直後に雷雨に見舞われ、2時間半に渡ってレースは中断。午後3時20分にレースが再開された。

 再スタートから10周を経た50周目、中団グループで玉突き状態となる“ビッグ・ワン”が発生。トップ10を争っていたスアレツ、エリック・ジョーンズが巻き込まれた。スアレツはイン側の壁にハイスピードでクラッシュ。ドライバーは無事だったが、レースはここで終えることとなった。

 その後はダコダ・アームストロングが好走を見せ、ステージ2を3位フィニッシュ。

 ステージ3の序盤は平穏なまま周回が重ねられていったが、残り15周を切るとアクシデントが続発。ファイナルラップを目前にした99周目には11台が絡む“ビッグ・ワン”が発生。

 4位を走行していたエリック・ジョーンズの後方車両が、エリック・ジョーンズを押そうとしてバランスを崩しスピン。後続が避けきれず次々に突っ込み、14位走行中のマット・ティフトも巻き込まれた。

 このアクシデントによりレースは10分ほど赤旗中断。再開後、延長されて最後の2周“オーバータイム”で決されることに。

 103周目に再スタートが切られたが、ファイナルラップのバックストレートで後続グループによる“ビッグ・ワン”が発生。レースはその時点で順位凍結となり、イエローフラッグのままチェッカーが振られた。

 トヨタ勢ではアームストロングが自身キャリア最高位となる3位フィニッシュ。アームストロングは前戦アイオワでも5位フィニッシュを果たしており、2戦連続のトップ5フィニッシュとなった。4位にはこちらもキャリア最高位、初のトップ5フィニッシュとなるジェブ・バートンが入った。

 次戦第16戦は7月7日(金)、ケンタッキー・スピードウェイで行われる。

ドライバー ダコダ・アームストロング:
「接触されて若干ダメージを負うというトラブルに見舞われたが、なんとか生き残り、ステージポイントも獲得出来るなど、素晴らしい一日になった。2戦連続でトップ5フィニッシュを果たせたというのは、小さなチームにとって良い自信に繋がったと思うし、自分としても良いレースが戦えた」