F1アゼルバイジャンGPを前に、FIAは、オイルを燃料として燃焼してパワー向上を得るという違反行為をさらに厳しく取り締まるとの意向をチームに対して示した。これはメルセデスがフェラーリに対して疑念を持ち、それをFIAが重く受け止めた結果だったとの見方が出てきている。
以前からメルセデスが予選になると大幅にパワーを上げることについて、エンジンオイルを燃料として燃やすという違法な行為を行っているのではないかとレッドブルなどライバルたちは疑ってきた。3月にFIAは、レッドブルからの疑義を受け、どのような形であれエンジンオイルを燃料として燃焼させることはレギュレーション違反と見なされると明言、また、オイルの使用状況と化学成分について監視するとも述べた。
メルセデスは違法な行為は一切行っていないと主張し、実際、不正は見つかっていない。しかし2018年にはオイルの不正使用を取り締まるため、さらに厳格な手段がとられることで、FIAとチーム側が合意している。
一方で、現状では規則の抜け穴を活用する方法があるかもしれないと考えたFIAは、すべてのチームが確実に規則に従うよう、アゼルバイジャンGPを前に、改めてガイダンスをチームに通知し、オイルの化学成分のなかで、燃焼を向上させる効果を持つものの使用を禁止すると明言した。
これはメルセデスが、タイトル争いのライバル、フェラーリに対する疑いを示したことによって取られた行動であるとの推測が持ち上がっている。
メルセデスが疑いを持つに至ったのは、メルセデスのテクニカルディレクター、ジェームズ・アリソンが昨年中盤まで所属していたフェラーリについて情報をもらしたからではないかという見方をする者もいる。
「赤いチームで働き、注目すべきエリアについて知っている人物が、現在、シルバーのチームに所属している」と、レッドブル・レーシングのあるメンバーは、アリソンの存在がなんらかの役割を果たしたとの考えを示している。
FIAが改めて警告を発したのは、それなりの理由があったからだと、ルノー・スポールF1のエンジン・テクニカルディレクター、レミ・タファンは発言した。
「何かが起こらない限り、FIAからこの手の議論や説明がなされることはない」とタフィンは語ったと英AUTOSPORTが報じている。
「だが、我々としては(前回FIAが行った説明に)さほど注目はしていない」
「燃料(しか)燃やしてはならないという事実を正しく理解している」
「そのような(違法とされる)ことは今後誰もやらないだろう」