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「JASRACは理解不足だ」音楽教室、「使用料徴収」手続きの保留を国に要望

2017年07月04日 16:13  弁護士ドットコム

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JASRAC(日本音楽著作権協会)が音楽教室での演奏に関する「使用料規定」を届け出たことについて、ヤマハ音楽振興会などでつくる「音楽教育を守る会」(三木渡会長)は7月4日午前、文化庁長官あてに、司法判断が確定するまで、行政手続きを保留することなどを求める要望書を提出した。JASRACによる使用料徴収に反対する署名約56万筆分もあわせて提出した。


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音楽教室を守る会はこの日午後、都内で記者会見を開き、要望書と署名を提出したことを報告した。三木会長は「音楽文化の発展について、同じ仲間であると認識している。JASRACの活動についてはリスペクトしている」と断ったうえで、「今回の問題については、教育を通して、われわれが音楽文化の発展に貢献してきたことについて理解が不足している。大変残念だ」と述べた。


現在でも、著作権の切れている曲であれば、著作権料は発生しない。ただ、三木会長によると、音楽教室では、子どもたちにもっとピアノ演奏を身近に感じさせるために、ポピュラーな曲を積極的に採用しているという。三木会長は「徴収されることになると、長い目で見ると、音楽文化、子どもたちにとって大事な音楽教育に影響を与えるのではないかと危惧している」と強調した。


JASRACは今年2月、音楽教室での楽曲演奏について、著作権料を徴収する方針を固めたことを発表した。一方で、ヤマハ音楽振興会や河合楽器製作所など音楽教室を運営する事業者は「音楽教育を守る会」を結成。3月下旬から、著作権使用料徴収に反対する署名活動をはじめた。


JASRACは6月7日、文化庁長官あてに、音楽教室での演奏利用に関する「使用料規定」を届け出た。こうした動きをうけて、音楽教育を守る会は6月20日、JASRACに使用料の徴収権がないことの確認を求める訴訟を東京地裁に起こしていた。


司法手続きとは別に、著作権等管理事業法に基づいて、文化庁による行政手続きが進むことから、音楽教育を守る会側は今回の要望書の提出によって、その流れにいったん歯止めをかけたい考えだ。今後、文化庁からの回答を待ちながら、JASRAC側に対して「使用料規定」を取り下げるよう求める協議の申し入れもおこなう。


(弁護士ドットコムニュース)