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深夜発着の利便性は? ジェットスター・ジャパンの東京/成田~上海/浦東線利用で2泊4日モデルケース【レポート】

2017年07月04日 14:13  TRAICY

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ジェットスター・ジャパンが6月2日から運航を開始した東京/成田~上海/浦東線。日本と上海を結ぶ格安航空会社(LCC)路線としては、ピーチが東京/羽田・大阪/関西~上海/浦東線の運航を2016年11月から開始している。当初はジェットスター・ジャパンも東京/成田~上海/浦東線の就航日を1月23日と発表していたものの、浦東空港の混雑悪化を理由に中国当局が新規就航を制限していたことから認可が得られず、就航を延期していた。

東京/成田~上海/浦東線はLCCとしては初めての就航で、ジェットスター・ジャパンにとっては初めての中国本土路線。週4便の運航で、東京/成田発のGK35便は月・水・金・日曜の午後10時15分に出発し、上海/浦東に翌午前0時40分に到着。折り返しとなる上海/浦東発のGK36便は月・火・木・土曜の午前2時5分に出発し、東京/成田に午前6時10分に到着する。上海/浦東の発着がいずれも深夜であるため気軽に使えるというスケジュールではないのは確かだが、例えば以下のように土日を利用して2泊4日(または空港泊で1泊4日)の強行上海旅行などという使い方も考えられる。

(例)

金曜 東京/成田午後22時15分発

土曜 上海/浦東午前0時40分着→ホテル泊→観光→ホテル泊

日曜 観光→夜に空港へ移動

月曜 上海/浦東午前2時5分発→東京/成田午前6時10分着

今回は月曜出発、木曜着の2泊4日で利用したモデルケースを紹介する。

ジェットスター・ジャパンの成田空港における国際線チェックイン時刻は出発3時間前から45分前までで、GK35便の場合は午後7時15分から午後9時30分までとなる。都内から成田空港第3ターミナルへの移動は、THEアクセス成田や東京シャトルといった格安バスでの移動が便利だが、THEアクセス成田を利用する場合は銀座駅午後6時(東京駅午後6時10分)発、成田空港第3ターミナル午後7時30分着が最終便なので注意が必要。東京シャトルは午後7時台にも20分間隔で東京駅前から運行している。

筆者は東京駅午後7時発の東京シャトルを利用し、成田空港第3ターミナルに到着したのは午後8時30分頃。GK35便のチェックインカウンターは第3ターミナル入口の目の前にあるAカウンターを使用していた。

並んでいたのは7人ほどで、10分程度で手続きを終えられた。持込手荷物の重量制限7キロの確認が厳しいようで、カウンター前では中国人の乗客たちが制限に収めようと手荷物をまとめるのに四苦八苦していた。LCCの中国路線では他社路線も含めて日本人の乗客があまり見受けられない。この日のGK35便に関しても、地上係員によれば乗客は中国人が約7割、次いでヨーロッパ人が約2割、日本人は約1割だそうだ。

ゲートはランプバス利用の150A。チェックイン時、搭乗開始予定時刻は午後9時45分と案内されていたが、ゲート前では搭乗開始時刻は未定となっていた。浦東空港周辺悪天候による空域混雑のため出発待機指示が出ているそうだ。その後、搭乗開始時刻は午後10時5分、但し浦東空港に着陸できない場合は関西国際空港に向かうという条件付きでの運航となる旨がアナウンスされた。

午後10時5分に搭乗が開始。搭乗時には「キャリーケースなどの手荷物1個とハンドバッグなどの手回り品1個の計2個」という規定の機内持ち込み荷物についてチェックされており、3個以上の荷物を持っている乗客はその場で規定内にまとめるよう注意されていた。

搭乗完了後さらに時間調整を行い、ドアクローズしたのは午後10時41分。機内の放送はまず日本語と英語で行われ、その後、別の客室乗務員が中国語で行われていた。今日の飛行時間は2時間34分の予定だそうだ。出発後しばらくは順調に上海に向けて飛行しているかに思われた。ところが、離陸後1時間程が経過した頃だろうか、同じ場所で何度か旋回しているような動きを感じた。機長からの放送によれば、浦東空港空域の混雑が解消されずに航空機の進入制限がかけられており、九州上空で待機するよう指示が出ているそうだ。

数十分の待機を経て、浦東空港に到着したのは現地時刻の翌午前1時9分。離陸前や上空での待機時間があったものの、30分程度の遅れに留まったのが幸いだった。

浦東空港から上海市内までの日中の移動は地下鉄やリニアモーターカーが一般的ではあるが、いずれも日付が変わる前に運行が終わってしまう。そのため深夜に浦東空港に到着した場合は、空港泊またはタクシーか深夜運行のリムジンバスでの移動となるが、多くの乗客がタクシーを利用するためタクシー乗り場は長蛇の列だ。筆者は浦東空港近辺のホテルを予約していたが、徒歩で行くには遠すぎる場所だったため、タクシー待ちの行列に並ぶ羽目になってしまった。なお、中国のタクシーでは、通りや交差点の名前で目的地を伝えることが一般的で、ホテルなどはよほど有名な場所でない限りはわからないと言われてしまう。通りの名前などを事前にメモしておくのが賢明である。

翌朝からは時間を十分に使って上海観光を楽しめる。上海は地下鉄の路線網が発達しており、ほとんどの観光地に簡単にアクセスできる。高速鉄道を使って、街中を運河がめぐる風情ある街並みの蘇州や、中国を代表する緑茶の「龍井茶」で有名な杭州など、近隣の都市に足を運んでもいいだろう。

3日目も朝から自由に時間を使い、夜には浦東空港へ移動。復路のGK36便のチェックイン時刻は午後11時5分から午前1時15分までだが、ここで注意したいのが地下鉄の運行時間だ。浦東空港へは地下鉄2号線が通っているが、浦東空港行きの運行は午後10時頃に終了しており、それ以降は途中の广兰路(広蘭路)駅止まりとなっている。

筆者はそれを知らずに午後10時半頃に2号線に乗ってしまったために、広蘭路駅で立ち往生することになり、同じ境遇となっている中国人とタクシーを相乗りして空港に向かった。GK36便のチェックイン時間にあわせて浦東空港に向かう場合は午後11時頃まで運行しているリムジンバスを利用するのが正解だ。

そして午後11時40分頃に浦東空港第2ターミナルに到着。Cカウンターの前にはチェックインを行う乗客が列を成していた。4つのカウンターが空いていたものの、手続き完了までに40分ほど要した。対して手荷物検査や出国審査に関しては、同じ時間帯の便が少ないためスムーズに進み、10分とかからずに通過できた。

ゲートはD79。出発前にシャワーなどを使う場合は、69番ゲート付近の69ラウンジが開いている。

事前に案内されていた搭乗開始時刻の午前1時35分に予定通り搭乗が始まり、復路は定刻で出発した。深夜便のため、最低限のサービスが行われたあとに機内の照明が落とされ、ほとんどの乗客が眠りについていた。

成田空港で設定されている午前6時までの離発着制限時間を避けるため、房総半島上空付近で数分間待機し、日本時間の翌6時10分に時間通り成田空港に到着した。電車やバスの始発が動いている時間なので、機内販売で購入した東京シャトルの割引乗車チケット(900円)を使って帰宅した。

今回は大きな遅れにはならなかったものの、心配されていた浦東空港の空域混雑の影響を早速受けることとなってしまった。現在の浦東空港の状況を考えると、今後大きな影響が発生することがないとは言えない。GK35便が大幅に遅延した場合は折り返しのGK36便もその遅れを引きずるため、帰国日に重要な予定を入れていると大きな影響を被る可能性もある。とはいえ夜間に低価格で移動できるのは理想的であり、そういったリスクとのバランスを考えながらスケジュールを組む必要があるだろう。