2017 TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race [Professional Series]第4戦
不安定な天気に惑わされず佐々木雅弘圧巻の勝利
開催場所:岡山国際サーキット
開催日:2017年7月2日(日)~7月2日(日)
スーパーGTの合同テストが金曜日と土曜日の2日間、鈴鹿サーキットで行われていたことに影響を受け、プロフェッショナルシリーズの予選と決勝は日曜日にワンデーで開催された。
多くのドライバーが鈴鹿から岡山国際サーキットへと移動してきたのだが、結果として十分な事前のテストを行えないドライバーも少なくなかった。そこに梅雨の不安定な天候が拍車をかけ、雨とスケジュールに苦しめられることになった。
土曜日の朝にはスコールのような雨が降り、路面のラバーをキレイに洗い流してしまった。木曜日までテストし、鈴鹿で合同テストに参加し、ぶっつけ本番で日曜日の予選に望んだドライバーは、路面コンディションの変化による影響が大きかったという。
そうした不確定な要素から、意外性のある結果を生むような雰囲気があった。
●予選
梅雨とは思えない、真夏のような強い日差しが照りつけた日曜日の朝、予選がスタートした。路面温度は45度まで上昇し、タイヤのコンディションを考えると一発勝負となることは明らかだった。
真っ先にアタックに入ったのは、ここ岡山国際サーキット育ちである#47蒲生尚弥選手(ブリヂストン)だった。1分51秒319というタイムで、10位だった前日の占有走行よりも1秒5もタイムアップに成功し、初のポールポジションを獲得。
今回は早めにアタックに入った#1佐々木雅弘選手(ブリヂストン)も、1分51秒387とわずかに届かずに2位。
●決勝レース
いいスタートを切った蒲生尚弥選手だったが、それを上回るスタートを決めたのが佐々木雅弘選手だった。蒲生尚弥選手もまた追いすがるが、バトルは2コーナーまでだった。
それからは毎ラップ0.3秒前後、少しずつ佐々木雅弘選手がリードを拡げていく。しかしそれは淡々としたものではなく、極めて緊張感のある戦いに見えた。
その後方では3位争いが激化していた。その要因のひとつは、レース開始前に雨が降ったことだ。
2時間前に行われたクラブマンシリーズの決勝Aレースでは、レース途中の8周目から雨が降り始めた。そのためタイヤの内圧をドライなのか? ウエットなのか? それともその中間なのか? 選手とチームは頭を悩ますことになった。
そして勝つために雨が降ることに賭けたのが新田守男選手と阪口良平選手だった。しかしレースは快晴で路面温度も高く、ふたりは苦しむことになる。
新田守男選手は6周目、#31青木孝行選手(ブリヂストン)と#76小河諒選手(ブリヂストン)の2台に一気にオーバーテイクを許し5位に。阪口良平選手は最終的に9位にまでポジションを落した。
佐々木雅弘選手は今シーズン2勝目を挙げ、シリーズランキングでもトップへ浮上した。2位には蒲生尚弥選手、3位には3年ぶりの参戦となる小河諒選手となり、ブリヂストン装着車両が表彰台を独占した。
●コメント
優勝した#1佐々木雅弘選手(ブリヂストン)
「一周も手を抜かず、全周回でフルプッシュしたレースでした。スタートで上手く蒲生尚弥選手(ブリヂストン)を抜くことができたのですが、プライベートでも仲がいいし、気心も判っているので、2コーナーまでの短い間だったけど、お互いにスペースを確保しながらいいバトルができたと思います」
「その後も毎周ファステストラップを更新し続けようという気持ちで走りました。そのドライビングに、ブレーキパッドも、もちろんブリヂストンタイヤも、マシンがしっかりと応えてくれて、それがこのレース結果につながったと思います。去年チャンピオンを取った時より、嬉しいです!」
2017 TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race [Clubman Series]第4戦
戦略通りの菱井將文だったが、雨に水を刺されて2位に留まる
開催場所:岡山国際サーキット
開催日:2017年7月1日(土)~7月2日(日)
山間部は天気の変化が激しいというのは、誰もが知っていることだろう。それが梅雨時となれば、さらに拍車がかかる。TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race 2017第4戦は、そんな岡山国際サーキットでの開催となった。
天気予報は天候も降水量も、その時間帯も、ほとんど当てにならない状況だった。エントリー台数は56台。岡山国際サーキットのフルグリッドは40台なので、それを超える台数が集まったのは今回が初めてだ。
他のサーキットと同じように、予選を2組に分け、決勝も予選上位各組20位までがAレース、予選下位がBレースとなった。
プロフェッショナルシリーズがビッグマイナーチェンジ後の後期モデルに限定され昨年までのマシンが市場に出たことで、クラブマンシリーズの参加台数は確実に増えている。
●予選
予選1組は現在ポイントリーダーである#771菱井將文選手(ブリヂストン)が1分53秒817でトップタイム。2番手にはマシンの不調を解消してきた#75手塚祐弥選手(ブリヂストン)、3番手に前戦優勝の#126庄司雄磨選手(ブリヂストン)が入った。
また、今回のレースでは、これまで事実上放置されていたタイヤの加工についてのレギュレーションが適用された。具体的にいえばトレッド面に削った痕跡がある場合は、レース前の車検をパスできない。
そのため、数台の車両が、ニュータイヤに取り替えることになった。予選2組は、前戦をトラブルで落した#38神谷裕幸選手(YH)が1分53秒759でトップタイム。2番手にはこのレース初参戦で、プロフェッショナルシリーズに参戦している蒲生尚弥選手の実兄である#630蒲生真哉選手(ブリヂストン)が入った。
兄弟で一緒にカートを走らせてきており、スーパーFJへの参戦経験もある。今回はチームも同じネッツトヨタ兵庫からの参戦となっている。
3番手は#84橋本洋平選手(ブリヂストン)。神谷裕幸選手のタイムが菱井將文選手を上回った為ポールポジションを獲得。2組が奇数グリッド、1組が偶数グリッドからのスタートとなった。
●決勝レース
スタート直後の第1コーナーで多重クラッシュが発生し、そのマシン撤去のためにセーフティカーが導入された。
その混乱によって、庄司雄磨選手は19位へ、蒲生真哉選手は22位にまで順位を大幅に落してしまった。解除されたのは4周終了時点で、そこから残り8周のレースが再スタートした。
ヴィッツレースでシリーズチャンピオンの経験もある神谷裕幸選手と、ジムカーナのベテラン現役ドライバー菱井將文選手。
このトップ2台がまず抜け出していった。菱井將文選手が、あえて神谷裕幸選手を攻め込むことをせず、適度な距離を保つことでバトルを避け、後続との距離を開ける戦略に出たからだ。3位争いは手塚祐弥選手と橋本洋平選手が激しいバトルを繰り広げたことも、その戦略を助けた。
レース後半に入ってジリジリと差を詰めた菱井將文選手だったが、そこで雨がパラパラと降り始めてしまった。マシンのセッティングの違いもあり、逆に神谷裕幸選手が差を拡げて、トップチェッカーを受けた。
神谷裕幸選手は2013年から参戦してきたが、今回が初勝利となった。2位は菱井將文選手、3位は橋本洋平選手が入った。
クラブマンシリーズはここまで4戦で、すべて勝者が異なる結果となった。それぞれが個性的なドライバーたちだが、果たしてそこから抜け出るのは誰なのか? 注目したい。
●コメント
2位となった#771菱井將文選手(ブリヂストン)
「ちょっと悔しいレースでしたね。序盤は無理をせずに、とりあえず後続を引き離すのが大事だと思って、後半勝負、実は10周目と決めていたんですよ」
「作戦通りに引き離すことができて、ドライでのペースも良かったのでトップとの差を詰めていったところで、雨が降ってきて、引き離されてしまったんです」
「もっと早めに仕掛けるべきだったのかもしれませんね。次の十勝は去年初優勝しているサーキットなので、連覇を目指して頑張りたいと思います」