FIAは、F1アゼルバイジャンGPでセバスチャン・ベッテルがルイス・ハミルトンに衝突した件について調査した結果、ベッテルに対してこれ以上ペナルティを科さないことを決めた。
セーフティカー先導時、リスタートを前に、先頭を走るルイス・ハミルトンにベッテルが追突、ブレーキテストをされたと考えたベッテルは憤り、ハミルトンの隣に並びかけて、手を挙げて怒りを示し、ハミルトンにヒットした。
この行為によって、10秒のストップ&ゴー・ペナルティおよびペナルティポイント3が科されたが、ベッテルは謝罪せず、FIAは、さらなるペナルティを科す必要があるかどうかを判断するため、詳しい調査を行うことを決め、その審議が3日に行われた。
FIA本部に、ベッテルはフェラーリのチーム代表マウリツィオ・アリバベーネとともに訪れ、FIAスポーツ担当副会長グラハム・ストーカー、FIAスポーツ担当事務局長ペーター・バイヤー、FIA F1レースディレクターのチャーリー・ホワイティング、FIA F1副レースディレクターでありFIAセーフティーディレクターのローレン・メキーズとともに、バクーでの一件について再考察を行った。
ベッテルへの10秒のストップ&ゴー・ペナルティは、その時点でスチュワードが科すことができる罰のなかでは失格の次に厳しいものだったが、FIAは「何よりも、このような行動が世界中のファンや若い競技者に与える影響、そしてこのような行動がFIAのイメージとこのスポーツの評判に与えるかもしれないダメージ」を考え、このインシデントが持つ意味に強い懸念を感じたため、改めて審議を行うことを決めたと述べている。
しかし3日にベッテルを呼んで話をした結果、彼が非を認めて謝罪したとして、FIAはこれ以上のペナルティを科さないことを決めた。
「詳細にわたり議論を行い、このインシデントに関連するビデオとデータの証拠をさらに詳細に調査した結果、セバスチャン・ベッテルはすべての責任を認めた」とFIAの声明には記されている。
「セバスチャン・ベッテルはFIAおよびモータースポーツファミリーに対し、心からの謝罪を行った」
ベッテルは今後1年にわたって若手ドライバー教育のための奉仕活動を行うということだ。
「彼は今後12カ月にわたり、さまざまなFIA選手権およびイベントの教育的活動にプライベートの時間を捧げることを約束した」
ベッテルはFIA F2選手権、FIA F3ヨーロピアン選手権、FIA F4選手権などのカテゴリーやFIAスチュワードのセミナーにおいて協力を行う予定だという。
また、FIA会長ジャン・トッドは、今年末までに関してはベッテルに対して交通安全キャンペーンへの協力を指示しなかったということだ。
「FIAはセバスチャン・ベッテルのこの献身および個人的謝罪、また、謝罪を公に行うと誓ったことに留意した。また、スクーデリア・フェラーリがFIAの価値および目的と連携していることにも留意した」
「これらの進展を考慮し、FIA会長ジャン・トッドは、これをもって本件を終結すべきであると結論づけた」
しかしベッテルは次のような警告も受けている。「違反行為とそれがもたらしたかもしれないネガティブな結果の重大性を考え、FIA会長トッドは、このような行為が繰り返された場合、その問題はすぐさまFIA国際裁判所に送られ、さらなる調査が行われることを明言した」