映画『フジコ・ヘミングの時間』が、2018年初夏に東京・シネスイッチ銀座ほか全国で公開される。
同作はピアニストのフジコ・ヘミングの姿を映すドキュメンタリー作品。フランス、アメリカ、アルゼンチン、ドイツ、日本などで行なわれた演奏の様子や、自宅で愛猫たちと共に暮らすフジコ・ヘミングの日常などを映す内容となる。公開発表にあわせて明らかになった同作のビジュアルには、フジコ・ヘミングがソファに腰掛けて猫を撫でているシーンが使用されている。
監督を務めるのは小松莊一良。これまでに吉川晃司、森高千里、東京スカパラダイスオーケストラ、コンパイ・セグンド(Buena Vista Social Club)ら多数のアーティストのPV、ライブ映像、ドキュメンタリー映像などを手掛けている。小松監督はフジコ・ヘミングについて「少女の様な純粋性と少年の様な痛快さで、彼女はアカデミックなクラシック界に新風を吹き込んだ。僕は彼女が持つチャーミングでファンタジックな魅力に惹かれている」とコメントしている。
フジコ・ヘミングは、日本人ピアニストの母とロシア系スウェーデン人デザイナーの父のもとでベルリンに生まれ、父と別れた後、東京で母の手ほどきを受けて5歳でピアノを始めた。30歳でドイツに留学した後、ヨーロッパで著名な音楽家から支持を得てキャリアを重ねたが、リサイタル直前に風邪をこじらせて聴力を失うアクシデントに見舞われ、ストックホルムに移住。耳の治療の傍ら、音楽学校の教師の資格を取得し、以後はピアノ教師をしながら各地でコンサート活動を続けた。日本では1999年に放送されたNHKのドキュメンタリー番組が話題を呼び、デビューアルバム『奇蹟のカンパネラ』がヒットを記録。2003年には菅野美穂がフジコ役を演じたドラマ『フジ子・ヘミングの軌跡』が放送された。
■小松莊一良監督のコメント
一音一音に込められた演奏者の想いに、僕たちは夢を見る。どんなジャンルの音楽も奏でるのは人間だ。だからこそ「音楽」は愚直に暖かい。
数奇な運命に翻弄された孤高のピアニスト・フジコ・ヘミング― 少女の様な純粋性と少年の様な痛快さで、彼女はアカデミックなクラシック界に新風を吹き込んだ。僕は彼女が持つチャーミングでファンタジックな魅力に惹かれている。
今や時代はデジタルに支配されてしまった。だが、こんな時代だからアナログな感受性を彼女から学びたい。僕たちの大切な心や感情を守るために。