都民ファーストの会の大勝で幕を閉じた都議選だったが、一夜明けた7月3日、小池百合子氏が同日付けで会代表を退くと発表した。「知事の仕事に専念する」ためとしている。
あからさまなタイミングに「裏切られた」と感じる人も
小池氏は昨年4月28日に同会特別顧問になった後、今年5月30日に同会代表に就任。それまで正式な離党をしていなかった自民党には、翌6月1日に離党届を提出していた。就任から1か月あまり、しかも都議選直後の辞任を目の当たりにした人からは、
「やるなあ……ほんとの策士だわ、この人」
「小池さん代表辞任するんだ。勝ちに行く手はずをきっちりやって、本業に専念するわけですね。天晴れ。凡人には想像つかないこと」
と、その行動を評価する声も聞かれている。確かに、選挙では候補者や政策にではなく、「小池氏が率いる都民ファーストの会」に投票した人も多いのだろう。自らが先頭に立って会の存在感をアピールする戦略は、獲得議席を見ても充分有効だったと見える。
しかし一方で、あからさまなタイミングに反感を覚える人も多い。「選挙目当てが見え見え過ぎてある意味潔い」「そこまでするか」「そりゃひでぇだろ」など、裏切られたとまでは言えずとも、なんとも歯がゆい思いを抱えている人が散見されている。
新人議員の不祥事リスクを回避するため?
小池氏は辞任の理由を、「二元代表制などで懸念があることを想定」し、今後は知事の仕事に専念するつもりと述べている。地方自治体は憲法93条に基づき、首長と議員をそれぞれ選挙で選ぶ「二元代表制」が取られている。首長と議会が相互監視して権力の暴走を防ぐための制度のため、このまま小池氏が会代表を続ければ、こうしたチェック機能が形骸化するのではと指摘されていた。そういう意味では、辞任は妥当な判断に見える。
ただ、都民ファーストの会に所属する当選者は、元会社員や自営業など、議員経験のない人が多く、今後、こうした政治に不慣れな議員による不祥事が発生する可能性も高い。小池氏はそうした不祥事の発生を見込み、責任を負うリスクを回避したのではないかとも囁かれている。
なお、国政への進出は否定したと各紙で報じられている。次の会代表には、初代代表を務め、現在は同会幹事長である野田数氏が再び就任する見通しだ。