マクラーレン・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のマクラーレン・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回はF1第8戦アゼルバイジャンGPを、ふたつの視点でジャッジ。
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マクラーレン・ホンダにとって、アゼルバイジャンGPは、2ポイント以上の収穫があったグランプリとなった。それは、ホンダが投入したスペック3エンジンが実走行のデータでも、パワーが向上していることが確認できたからだ。長谷川祐介ホンダF1総責任者曰く、「バルセロナと同じくらいのレベルのアップデート。確実に良くなっている。コンマ2秒程度は向上している」という。
残念だったのは、その新エンジンを予選とレースで使用できなかったことだ。理由は金曜日のフリー走行で新エンジンを搭載したフェルナンド・アロンソのマシンがギヤボックストラブルに見舞われたからだ。瞬間的にエンジンがオーバーレブしてしまったため、ホンダは大事をとって、土曜日以降の使用を見合わせ、アロンソ車にストフェル・バンドーンと同様スペック2を搭載した。
結果的に今年のアゼルバイジャンGPは大荒れの展開となったため、スペック2でも中団でポジション争いができ、アロンソは9位入賞を果たした。なお、レース終盤、アロンソが「ノーパワー、ノーバッテリー」と無線で訴えていたが、エンジンにもERS系にも問題はなかった。むしろ、アロンソがカルロス・サインツJr.にオーバーテイクを許したときに、アロンソがタイムを失っていたのはセクター1だった。そのため、DRSゾーンに入られて、簡単にオーバーテイクを許したのではないかと考えられる。
もうひとつ、アゼルバイジャンGPで得た明るい材料は、大事をとって温存したスペック3に明らかに問題がバクーで発見されなかったことだ。
「詳細はHRD Sakuraで調査してみないとわかりませんが、ここで見た限りでは大きな問題は見つかりませんでした。たぶん、大丈夫だと思います」と長谷川祐介総責任者は語る。
バクーで投入したスペック3は4基目のエンジンだった。その使用を土曜日以降見送ったホンダは、予選とレースでスペック2を5基目のエンジンとして使用した。もしバクーで投入したスペックが使い物にならなかった場合、ホンダはオーストリアGPで6基目のエンジンとしてスペック3を使用するしかなかった。
しかし、オーバーレブさせた4基目(スペック3)が使用ならば、5基目のエンジン(スペック2)は金曜日エンジンとして使い回し、4基目(スペック3)を予選とレース用に使うことができる。
アゼルバイジャンGPでは、2人とも多くのグリッド降格ペナルティを受けたが、そのほとんどはトラブルによるものではなく、オーストリアGPを見越した戦略的な交換だった。
「2人のドライバーには申し訳ないなかったんですが、ここでペナルティを集中させたのは、次からのレースで不利を被らないための戦術。スペック3もそれなりのパフォーマンスも見えてきた。ここから少しでも上昇していきたい」
まだまだトップは遠いが、前進は見られた。その前進は次のオーストリアGPで土曜日以降、成績として見られるだろう。
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