WRC世界ラリー選手権は7月2日、第8戦ポーランドのSS20~23が行われ、ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)が2017年シーズン3勝目を挙げた。
ヌービルとオット・タナク(フォード・フィエスタWRC)による総合優勝争いは、前日のSS19終了時点で3.1秒差まで接近していた。
ふたりによる優勝争いは、競技最終日オープニングのSS20でタナクが1.8秒差で総合首位を奪うなど、近年のWRCではまれに見る接戦となる。
しかし、続く18.68kmのSS21でタナクがコース脇の木に衝突。マシンの左フロントを大破させてリタイアとなり、優勝争いはここで幕切れとなった。
タナクは「森の中の、路面が泥状になり滑りやすい場所でのクラッシュだった」と当時の状況を振り返る。
「あそこまでひどいコンディションだとは思っていなかった。マシンのリヤが斜面にぶつかり、その反動でハイスピードのままフロントから木にぶつかったんだ」
「プッシュしすぎたかって? 勝つためには文字通り全力でプッシュする必要があったんだよ」
タナクのクラッシュで総合2番手にはヌービルのチームメイト、ヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)が浮上する。
トップを走るヌービルと2番手パッドンとは1分以上のギャップがあり、ヌービルは危なげない走りでSS22~23を完走。最終的に1分23.9秒までリードを広げて今季3勝目を飾った。
「オット(・タナク)は最後まで諦めない姿勢で素晴らしいラリーをしていた」とヌービル。
「彼がクラッシュしてしまったことは残念に思うし、それまでの走りは素晴らしいものだった。強敵であることが改めて証明されたと思う」
総合2位はパッドンが獲得し、ヒュンダイ勢がワン・ツーを達成。総合3位にはセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)が続いた。
■トヨタ勢最上位はハンニネンの総合10位。ラトバラはボーナスポイント持ち帰る
この週末、苦戦が続いたTOYOTA GAZOO Racing WRTは、前日総合11番手だったユホ・ハンニネン(トヨタ・ヤリスWRC)が順位をひとつ上げて総合10位でフィニッシュ。チームにポイントをもたらした。
前日マシントラブルからデイリタイアしたヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)は競技に復帰し、総合20位でフィニッシュ。また、ボーナスポイントが与えられるパワーステージのSS23で最速タイムをマークしてドライバーズランキングに5点を加算した。
シトロエン勢はステファン・ルフェーブル(シトロエンC3 WRC)の総合5位が最上位。エースドライバーのクリス・ミークに代わって出場したアンドレアス・ミケルセン(シトロエンC3 WRC)は総合9位で競技を終えた。
ポイントランキングでは3位表彰台に入ったオジエが160点でトップを死守。11点差の2番手でヌービルが続いている。オジエと48点差のランキング3番手はラトバラだ。
2017年のWRC第9戦は7月27~30日に行われるラリー・フィンランド。シリーズでもっともハイスピードなバトルが繰り広げられる1戦となる。
トヨタにとっては起用する全ドライバーの母国戦であり、チームにとっても拠点があることから特別な1戦と呼べる戦いだ。