厚労省は6月30日、2016年度の労災補償状況を発表した。これによると、過労や仕事による強いストレスが原因で精神障害を発症し、昨年度労災認定された件数は498件と、過去最多になった。
残業20時間未満でも84人が労災認定 労働時間だけが問題とは限らない
雇用形態別では、正規職員・従業員が448人と圧倒的に多い。精神障害による自殺者数も、正規職員・従業員が80人いるのに対し、契約社員、パート・アルバイト、その他(特別加入者等)は0人だった。
労災認定された人を年齢別に見ると、30代が136件、40代が144件、50代が82件と昨年より数件減少したものの、10代と20代では増加した。10代は昨年より7件増えて9件、20代は20件増えて107件に上った。
1か月の平均残業時間は、20時間未満が84件、20時間以上100時間未満が131件、100時間以上160時間未満が107件だった。160時間以上も52件あった。
精神障害による労災申請件数も4年連続で増加し、2015年度より71件増えて1586件だった。
申請が多い業界は「社会保険・社会福祉・介護事業」(167件)が1位、「医療業」(134件)が2位、「道路貨物運送業」(84件)が3位となっている。介護業界や医療業界の重労働ぶりはかつてから指摘されていたが、今回の調査もそれを裏付ける結果となった。
年齢別に見ると、昨年同様40代からの申請が最も多く542件。都道府県別では東京都が最多で288件、最少は島根県の3件だった。
セクハラで精神障害になったと認められたのは29件
精神障害を負った具体的な理由で最も多いのは「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」(74件)で、次いで多いのが「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」(63件)だった。
昨年度と比べて最も増加幅が大きいのは「2週間以上にわたって連続勤務を行った」で、前年度比22件の増加、次が「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」で14件増加、「(重度の)病気やケガをした」「悲惨な事故や災害の体験、目的をした」が共に8件の増加となった。「セクシュアルハラスメントを受けた」は5件増えて29件だった。