アストンマーチンは6月29日に開幕した2017年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで、『アストンマーチン・ヴァルカンAMRプロ』をお披露目した。
アストンマーチン・ヴァルカンは、2014年に発表されたサーキット専用走行マシン。最高出力820馬力を誇り、世界限定で24台が製造・販売され、日本円で3億を超える価格にも関わらず、瞬く間に完売した1台だ。
今回発表されたヴァルカンAMRプロは、このヴァルカンの性能を引き上げるパフォーマンスパッケージ。その名の通り、アストンマーチンのパフォーマンスブランド、AMRが開発を手掛けている。
AMRはパッケージ製作にあたり、ダウンフォース性能の向上に注力したといい、フロントエンドやフロントホイールアーチにパーツを追加したほか、フロントノーズにダイブプレーンを取り付け、ステアリングレスポンスを向上させた。
ダウンフォース性能改善の処理はマシンのリヤにも及ぶ。リヤウイングは新型のデュアルプレーンデザインとなり、新たに20mmのガーニーフラップも追加されている。
これら空力パーツの追加などにより、エアロダイナミクスは大幅に改善し、その性能は2017年のル・マン24時間耐久レースを戦ったアストンマーチン・バンテージGTEを上回るという。
空力パーツはカーボンファイバーで作られており、車重の増加は最低限に抑えられたほか、エンジンカバーも重さ5kgのカーボン製に置き換えられた。また、より鋭い加速を実現するためにギヤレシオも見直された。
アストンマーチン・レーシングのワークスドライバーであるダレン・ターナーは「幸運にもヴァルカンの開発からプロジェクトに携わり、マシンを手にしたカスタマーとともに多くのサーキットを走ってきた」と語る。
「見た目やサウンド、そしてパフォーマンス。すべてが信じられないくらい最高の1台だ。それでいて手懐けられないモンスターマシンではなかった」
「だから、AMRプロの開発プロジェクトでも目標を明確にする必要があった。フロントとリヤのダウンフォースレベルを引き上げながら、マシンバランスを改善したよ」
「ギヤ比を変更したことで、アクセルワークにも俊敏に反応するし、ステアリング操作にも忠実だ。このマシンで高速コーナーを走っている時の感覚は表現のしようがない」
「このAMRプロを手にしたカスタマーたちが、どんな顔でコーナーを駆け抜けるか、今から見るのが楽しみだ」
ヴァルカンAMRプロへのアップグレードは、アストンマーチンのオーダーメイド部門『Q by Aston Martin』のワークショップで行われ、すでに1台目への作業が進行中。今年秋にはユーザーのもとへデリバリーされる。