LCRホンダのカル・クラッチローは、アプリリアのサム・ロウズがチームからの成績を求めるプレッシャーにさらされていることについて、彼はMotoGPのルーキーであり、その実力を発揮できるためには時間が必要だと擁護した。
今年Moto2クラスから昇格したロウズは、シーズン立ち上がりから成績が低迷していることで批判が出ている。
先週末のオランダGPでは、ロウズはウエットコンディションの予選Q1で今シーズンベストの結果を出した。翌日の決勝では10番手でスタートしたものの、15番手を走行中に転倒して完走できなかった。
アプリリアのレーシングマネージャーであるロマーノ・アルベシアーノは今月初め、チームがロウズの後任候補としてアルバロ・バウティスタやダニロ・ペトルッチと交渉中だと話し、ふたりもチームと話したことを認めている。
ロウズについて聞かれたクラッチローは、彼にはその実力を発揮するチャンスが十分に与えられていないとしたうえで、彼の状況をほかのルーキーたちと比べるのは間違っていると語った。
「(ロウズには)公平な機会が与えられていない」とクラッチロー。
「今シーズンのほとんどは、コースで走る時間よりガレージで座っている時間の方が多い。彼のミスが理由ではないのにだ」
「マシンにメカニカルな問題があって、彼は実力を発揮できずにいる」
「アプリリアが後任探しをする理由もわかるよ。だけど、もし(ヨハン・)ザルコや(アレックス・)リンスと比べているとしたら、それは考え方が間違っている」
「ザルコの(ヤマハの)バイクは僕たちには想像がつかないくらい乗りやすいと思う」
「もしも彼をアプリリアかホンダに乗せたら、今とはほど遠い成績しか出せないだろうね」
「間違えないでほしいのは、ザルコは素晴らしいライダーだ。だけど、単純に彼と比べてもだめなんだ」
クラッチローは、今のロウズの状況を、同じくMotoGPのルーキーだった2011年当時の自分になぞらえた。スーパーバイク世界選手権(SBK)からヤマハ・テック3に移ったクラッチローは、その頃ロウズと同じような間違いを犯していたのだと話し、さらに以下のように付け加えた。
「サムは今よりもずっと調子が上がるだろう。ただ時間が必要なんだ」
「今の彼の走り方は、完全に間違ってはいないが、でも良くない」
「僕がMotoGPに来たときの走り方とそっくりなんだ。そのときの僕の成績もひどかった」
「MotoGPでの1年目に、僕はエルベ(・ポンシャラル/テック3代表)と議論したよ」
「MotoGPを辞めてSBKに戻りたいと主張していたのは僕なんだ。でもエルベは、時間が必要なだけだ、ここに残ってトライすればいいと言って、僕を落ち着かせてくれた」
「その翌年、僕は(MotoGPに)あらためて挑んだ。初戦で4位に入り、年間では2度表彰台を獲得できた。そういうものなんだ」
「経験を積んで、時間をかけて、改善することが大事だ。でも、それにはチームが彼に時間を与えることが必要なんだ」