「若者のファッション離れ」とはよく言われるが、実際のところ、できれば服にお金をかけたくないという思いを持つのは、若者だけに限らないようだ。消費者庁が6月28日に発表した2016年度消費者意識基本調査では、「今後節約していきたいもの」の1位が「ファッション」という結果になった。
購入頻度は男女とも「2~3月に1回」が最多
同調査は、満15歳以上で日本国籍を有する1万人を対象に行われた。「現在お金をかけているもの」を複数回答で聞いたところ、最も多いのが「食べること」(69.9%)、次いで「交際(飲食を含む)」(29%)、「理美容・身だしなみ」(28.2%)と並んだ。
衣食住のうち、「食」は欠けると生命の危機に瀕する可能性が跳ね上がるため、節約に限度がある。「食べること」だけが60%台と高い数値を出しているのは、そうした背景もあるのだろう。ファッションは25.1%で23項目中6位と比較的上位に入っている。
しかし、「今後節約していきたいと考えているもの」を聞いたところ、「ファッション」は37.4%で1位になった。以下には「通信(電話・インターネット)」の36.5%、「車」の35.9%が続く。
カルチュア・コンビニエンス・クラブが18歳~64歳を対象に行い、今年6月に発表した調査でも、服を買わない現代人像が明らかになっている。
1か月あたりの購入金額は男性が3000円未満、女性が5000円~1万円未満と性別で差があるものの、購入頻度は男女ともに「2~3か月に1回」が最も多かった。買ってから手放すまでの期間も長い。女性は「2~3年」が最多の回答だが、男性の最多は「擦り切れるまで」で3割だった。
物持ちが良いと言えば聞こえはいいが、擦り切れるまで着るのは見栄え的にどうなのだろうか。いずれにせよ、一度購入した物を長く使う姿勢を見ると、「今後節約したいと考えているもの」でファッションが1位になるのももっともだろう。
ファッションへの関心は10年前より7.6ポイント上昇
しかし、服を買わないようになったからといって関心が薄れている訳ではないようだ。1992年から博報堂が行っている調査「生活定点」の2016年の結果を見ると、ファッションに関心があると答えた割合は30.2%で、20年前の1996年と比べて7.6ポイント上昇していた。
生活定点は調査対象地域が東京都心部と大阪都心部で、他2つの調査より地域が狭いため、単純な比較は難しい。ただ、「若者が服を買わなくなっている」というよりは、日本全体で被服にお金をかけなくなっているのが実情なのではないだろうか。