WEC世界耐久選手権に参戦しているトヨタとポルシェは、2020年に導入される新レギュレーションで毎ピットストップ後、1kmは電気で走行しなければならないという規則を歓迎する意向を示した。
2020年に導入される“1kmルール”では、現在給油が行われるように、急速充電も導入。その結果として、毎ピットストップ後の1kmを電気駆動のみで走ることが求められる。
現在、WEC最上位クラスを争っている2メーカーは、2020年に施行される新レギュレーションが自動車産業の発展に寄与すると確信している。
トヨタ・モータースポーツGmbHテクニカルディレクターのパスカル・バセロンは、「新ルールは、我々が市販するプラグインハイブリッド車両の技術と似ている」と語る。
「プラグインハイブリッドでは、例えば高速道路に乗るとエンジンが動き出すんだ。これは(WECの新レギュレーションと)とても関係性が深いことの表れだ」
ポルシェLMP1チーム代表のアンドレアス・ザイドルも、ゼロ・エミッションを目指すための「選手権のための自然な動き」だと述べている。
また、バセロンは新レギュレーションが導入される2020年の大幅なコスト削減策を前に、WECと市販車開発の関連性を維持することの重要性を強調した。
そのうえでバセロンは、LMP1がIMSAウェザーテック・スポーツカーチャンピオンシップを戦うLMP2ベースのDPi(デイトナ・プロトタイプ)のような“スーパー・デイトナ・プロトタイプ・インターナショナル”になるような事態は避けるべきだと述べている。
「我々トヨタのようなマニュファクチャラーは、市販車に活用できる高度な技術を実験する場となるから、WECには参戦してきた」とバセロン。
「誰だってコストは削減したいものだが、それによりテクノロジーがおざなりになるようなことは望んでいない」
「“スーパーDPi”にはなりたくない。我々の進歩が止まってしまうからね」
この新規則を策定したFIAとACOフランス西部自動車クラブは、全マニュファクチャラーに共通の充電システムを提供することで、開発コスト削減を狙っている。そのほか2020年の新レギュレーションでは、アクテイブエアロダイナミクスの導入や、走行テスト、風洞テスト、開発の制限なども行われる。