6月29日に開幕するWRC世界ラリー選手権第8戦ポーランドに出場するアンドレアス・ミケルセン(シトロエンC3 WRC)は、チームのエースであるクリス・ミークと協力すれば、シトロエンにチームタイトルをもたらすことができると語った。
1年間の活動休止期間を経て、2017年シーズンからワークス体制でWRCに参戦しているシトロエン。当初はチャンピオン候補筆頭と考えられていたが、第7戦終了時点でマニュファクチャラーズランキング最下位と低迷している。
エースドライバーのミークも第3戦メキシコで優勝したものの、それ以外のラウンドでは苦戦。ここ数戦はクラッシュが相次いだこともあり、ラリー・ポーランドには参戦しない。
そのミークの代役としてラリー・ポーランドに出場するミケルセンは、第7戦イタリア・サルディニアにシトロエンから参戦してWRC最上位クラスに復帰。チームメイトに不運が相次ぐなか、総合9位を獲得している。
「クリス(・ミーク)がラリー・ポーランドに参戦できずに残念だ」とミケルセン。
「そして、僕が彼の代役となっていることにも、がっかりしている。今年、僕とクリスが協力すれば最強のコンビになることは間違いないからね」
「クリスはシトロエンのことを熟知していて、僕には(2016年に開発に従事した)2017年型フォルクスワーゲン・ポロ WRCの知識がある」
「(このふたつが合わされば)マニュファクチャラーズタイトルを手にすることができると思うんだ」
ミケルセンは最終的にお蔵入りとなった2017年型ポロWRCのほか、プライベートテストでヒュンダイi20クーペWRCをドライブした経験を持っており、この2台から得た知識をシトロエンとの事前テストで活用。その結果、マシンは「着実に進化」しているという。
「サスペンションやディファレンシャルをはじめ、文字通りマシンのあらゆる部分に手を加えているし、運動学的側面からもマシンをチェックしている」
「今ある部品を並べ替えているだけではないんだよ」
■シトロエン、マシンの改良に着手。「いまのマシンはスイートスポットが狭すぎる」
チームを率いるイブ・マトンも、シトロエンは「一歩下がって現状を見つめ直し、C3 WRCの開発中に抱えていたリスクを解消するべき」としている。
「我々のマシンが速いことは間違いない。ただし、マシンがポテンシャルを発揮するスイートスポットが狭すぎるんだ」
なお、シトロエンはラリー・ポーランドに向け、ふたつのエリアに関してホモロゲーションを再取得。リヤディファレンシャル周りに新パーツが導入されたほか、前後のトルク配分を最適化している。
本人からのコメントは得られていないが、チーム関係者によれば、このふたつはミークが以前から改良を訴えていたものだという。ミケルセンも「もっとフロント側にトルクがあるマシンをドライブしてきた経験がある」と改良の理由を説明している。
「コーナーへ飛び込む時、僕はブレーキングでマシンをスライドさせる。そして、そのあとはアクセルを全開にしてコーナーをクリアするんだ。コーナリング中はフルスロットルだよ」
「(前戦の)ラリー・イタリア・サルディニアでは、ブレーキを踏んでフルスロットルにしたら、マシンがスライドしすぎた。リヤのスタビリティが充分ではなかったんだ」
なお、ミケルセンはC3 WRCで挑む2戦目も、前回と同様にマージンを持った戦略で戦うと明かしている。
「『あまりに遅いのはウンザリだ。全開で行ってやる』と言うこともできるけど、それでは必要以上にリスクを抱えてしまう」
「まだ、マシンとの一体感がないんだ。マシンから充分なフィードバックが得られていないし、あらゆるコンディションでのマシン挙動を把握できてない。そうなるとクラッシュするしかないんだ」
「マシンについて理解は深まりつつあるし、ラリー・ポーランドに向けていろいろな変更も施したから、自分のプランどおりに戦っていく」