厚労省が6月27日に発表した2016年度の国民生活基礎調査から、喫煙率が初めて2割を切ったと明らかになった。オリンピックを控え屋内の全面禁煙の議論が進む中、世論の「たばこ離れ」が改めて浮き彫りになった形だ。
20代の喫煙率減少幅は、男女ともトップ 進む若者の嫌煙志向
国民基礎調査は1986年を初回に毎年実施されている。世帯構成や健康状態、貯蓄額などを明らかにする大規模調査を3年ごとに、その間の年は世帯や所得などに項目を絞った基礎的調査が行われる。2016年度は大規模調査の年だった。大規模地震があった熊本県と、入院中の患者は調査から除かれている。
20歳以上の男女の喫煙状況は、男女とも「吸わない」が最も多く、男性で58.9%、女性で86.2%だった。「以前は吸っていたが1か月以上吸っていない」と答えた人は、男性が8.0%、女性が2.4%だった。
男女合わせ、全体のうち「毎日吸っている・時々吸っている」を合わせた割合は19.8%と、調査開始以来初めて2割を下回った。
本数や頻度に関わらず「喫煙している」と答えた割合を性別・年齢別に見ると、男女とも30歳~49歳の層が最も高い。しかし、割合の数値自体は年々下降傾向にある。2001年の調査では同じ年代の喫煙率は男性が55~58%、女性が17~19%程度だったのに対し、今回の調査では男性が約40%、女性が13~15%だった。特に男性の喫煙率の数値が大きく減少していると分かる。
20歳~29歳という若い層でもこの傾向は顕著で、2001年と比べて下がり幅が最も大きいのもこの世代だった。減少幅は、男性が24.5ポイント、女性で12.5ポイントだった。
ヘビースモーカーの割合も過去10年で最少に
ヘビースモーカーも減っている。2015年の国民健康・栄養調査によると、喫煙習慣のある者のうち、1日に21本以上タバコを吸う人の割合は10%で、男女別では男性12.4%、女性2%と、どれも過去10年のうち最も少ない数値を記録した。
たばこをやめたいと思う人の割合は27.9%で「男女とも有意な変化は見られなかった」とある。
ただ、実際に禁煙をするにあたり、身近に禁煙治療を受けられる医療機関があるかどうかは、男女ともにどの年代でも「分からない」が最多である。情報の周知と禁煙意欲のある人とをどう繋げるかが課題だ。
政府は「がん対策推進基本計画」で2022年度末までに成人の喫煙率を12%に下げる目標を掲げている。現在、オリンピックに向けて屋内の禁煙規制が議論されているが、五輪開催を抜きにしても、世間の風向きが嫌煙の方向にあるのは間違いないようだ。