FIAがF1アゼルバイジャンGPでセバスチャン・ベッテルがルイス・ハミルトンにヒットした行為についてさらなるペナルティを科すべきかどうかを判断するため、正式な調査を行うと発表した。
セーフティカー先導時、全車がリスタートに備えていた際、ベッテルは前を走るハミルトンに追突。ブレーキテストをされたと感じて憤ったベッテルは、ハミルトンに並びかけ、手を上げて怒りを示し、ハミルトンにヒットした。この行為は危険につながる可能性があったとして、ベッテルには10秒のストップ&ゴー・ペナルティが科された。FIAは後に、テレメトリーを調べた結果、ハミルトンがブレーキテストを行った形跡はないことも明らかにしている。
ベッテルへのペナルティが十分ではないとの見解もあるなか、FIAは28日、改めてこの一件を調査すると表明した。
FIAのスポークスマンは、証拠を調べた上で、さらなるペナルティを科す必要があるかどうかを、次戦オーストリアGPまでに判断すると述べた。
「アゼルバイジャン・グランプリで、ナンバー5(セバスチャン・ベッテル)がナンバー44(ルイス・ハミルトン)との接触に関与するというインシデントが最近発生したことに伴い、7月3日月曜、FIAはさらなるアクションが必要かどうかを評価するため、このインシデントの原因をさらに調査する」とFIAの声明には記されている。
「このプロセスの結果に関する声明は、次戦オーストリア・グランプリの前に公表する」
アゼルバイジャンでペナルティを受けたベッテルは、あくまでハミルトンの行動は間違っていると主張、自分にペナルティを科すならハミルトンにも科すべきだったと発言した。
ハミルトンは、ベッテルの2度目の衝突は故意に行ったものであるとして、チャンピオン経験者として恥ずべき行為であると強く非難している。
ベッテルは昨年のメキシコGP決勝中にF1レースディレクター、チャーリー・ホワイティングに対して暴言を吐いたことが問題になったが、レース直後にホワイティングに直接謝罪、FIAにも謝罪文を送ったことから、FIAはベッテルに懲戒などの処分を科さないことを決めた。
しかしその際のFIAからの声明には、「FIAはこの機会に、メキシコで起きたインシデントと同様のものが将来発生した場合、その問題をFIA国際裁判所に送り、懲戒処分が取られる旨、通達する」という一文が添えられていた。
今回、ベッテルは暴言を吐いたというよりも、自分は全く悪いことをしていないと主張するその態度も問題視されているものとみられる。
FIAがさらなる行動を起こすことが必要と判断した場合、裁判所で審議が行われる可能性があり、それによって出場禁止などのペナルティが科されることになるかもしれない。
ベッテルはハミルトンへの2度目の接触によって、ペナルティポイント3も加算され、過去12カ月の合計が9点となり、あと3点で1戦出場停止の処分を受けるような状況だ。ペナルティポイントが12カ月の間に12ポイントに達すると、次のレースに関してスーパーライセンスが停止されると規則で定められている。
ただし、ペナルティポイントはそれぞれ12カ月で取り消されることになっているため、2016年イギリスGPでフェリペ・マッサをコース外に押し出したことで科せられた2点は、今年のオーストリアGP後の月曜に抹消されることになっている。
ベッテルは、現在ポイントリーダーとしてタイトルを争っており、出場停止などの罰を受ければ、5度目のタイトル獲得の目標達成において大きなダメージとなる。