トップへ

大気中から二酸化炭素を直接取り出す技術が誕生!環境問題への貢献に期待がかかる

2017年06月28日 21:03  Techable

Techable

写真
今、二酸化炭素排出は世界的な環境問題になっている。スイスのClimeworksでは、大気中の二酸化炭素をダイレクトに抽出するフィルター技術の試作プロジェクトを遂行中だという。

同社は、スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)在学中に出会った、Christoph Gebald氏、Jan Wurzbacher氏によって2010年に設立された。
・3年間の試用プラント運用
大気中に含まれる二酸化炭素を直接キャッチする独自のフィルター技術が活用された初のプラントがHinwilに建造され、3年間のデモンストレーションプロジェクトを実施する予定だ。スイス連邦エネルギー課の経済的支援を受け、Gebrüder Meier、KEZOと共同開発される。
・フィルターが飽和状態になると二酸化炭素を放出
プラントには輸送コンテナが設置され、1つのコンテナにつき、6つの二酸化炭素コレクターを内蔵する。各コレクターは毎年50トンの二酸化炭素を大気中から取り除く性能を保有。小さいファンがコレクター内へと空気を吸い込み、フィルターが二酸化炭素を吸い上げる。

フィルターが飽和状態になると、2、3時間以内にコレクターが約100度まで熱され、気体の状態で二酸化炭素を放出するようになる。
・集めた二酸化炭素は農業温室や飲料メーカーに販売
この放出された二酸化炭素は、商業利用のために販売される。主な販売先は近隣の農業用温室だ。トマトやキュウリなどの野菜の生長を促すために、二酸化炭素が用いられる。

また、飲料メーカーも販売相手の候補。炭酸水やソーダをつくるのに二酸化炭素が必要になるためだ。

飲料製造の工場敷地内に、二酸化炭素抽出プラントユニットを設置すれば、二酸化炭素の運送にかかる費用や時間の削減にもつながる。

開発チームとしては、“二酸化炭素を排出しない”というブランド名目で、プラスチックや燃料などの開発にもつなげられるのではと期待している。
・二酸化炭素排出量の国際目標に寄与
“IPCC(気候変動に関する政府間パネル)”では、2050年までに年間約100億トンの二酸化炭素を除去せねばならないという国際目標を見積もっている。Wurzbacher氏によると、2025年までに二酸化炭素排出目標量の1%をフィルターするとなると、約25万のプラントが必要になると見込んでいる。Climeworksの技術は、二酸化炭素排出量問題に貢献してくれそうだ。

Climeworks