6月23~25日の週末にアメリカ・ウィスコンシン州エルクハートレイクにあるロードアメリカを舞台に、インディカーとの併催で開催されたPWCピレリ・ワールドチャレンジの第6戦。“ホームレース”として迎えたこの1戦で、アキュラNSX GT3は進化をみせ、ピーター・コックスの93号車が今季初の5位入賞を果たした。
ライアン・エバースレーのドライブする43号車とともに、通常のGTラウンドとなった1戦に挑んだアキュラ勢は、予選から好調を維持。PWCでアキュラ・ワークスとして活動するリアルタイム・レーシング(RTR)の本拠地が置かれ、チームにとってのホームレースとなるイベントで、93号車が7番グリッド、43号車が9番グリッドと2台そろってシングルを獲得した。
続いて行われた土曜のレース1でもNSX GT3勢は快走をみせ、そろってトップ10圏内をキープしていく。
アキュラにとってもう一方のテスト・プログラムであるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権では、今月初旬にデトロイトで行われたイベントでキャサリン・レッグ/アンディ・ラリー組が初優勝をマークしており、RTRにとっても早期の1勝が悲願。
そんな期待が入り混じるなか、1度もイエロー・コーションの出ない緊迫した50分のレースで、コックスが見事なドライビングでポジションを上げ、最終的に今季自己最高の5位でフィニッシュ。エバースレーも10位に入り4度目のトップ10となった。
明けた日曜のレース2は、エバースレーが6番グリッド、コックスが7番グリッドと、ともに上位進出を狙える位置からのスタート。しかし、93号車をドライブするベテランのオランダ人に、不運なアクシデントが襲いかかる。
3周目に入ったところで、編隊走行を続けるNSX GT3にアタックを仕掛けてきた元シリーズ・チャンピオン、ジョン・フォガティの99号車ポルシェ911GT3Rが、追い抜きざまにコントロールを失いスピン。そのあおりで93号車のNSX GT3と77号車のポルシェ911GT3 R、プレストン・カルバートも道連れとなり、激しくクラッシュ。これでコックスのレースはわずか3周で終了することとなってしまった。
「本当にがっかりだ。昨日のリザルトを上回るレース展開にできると信じていたからね」と、肩を落としたコックス。
「今回、僕らのNSX GT3はマイナーチェンジを行い、今日はよりコンペティティブな状態に仕上がっていた。チームのホームレースに望む結果を得られなくて残念だよ」
一方、93号車のマシン回収でイエローコーションとなるなか、43号車のエバースレーはポジション奪還を目指してふたたびチャージ。再開後にはポジションを上げ、最終的に8位でフィニッシュ。エバースレーにとってはライムロックパーク以来となる、今季4度目のシングルフィニッシュとなった。
「複雑な感情だよ。このNSX GT3プログラムがふたたび進捗を見せているのは喜ばしいことだけど、今日のピーター(・コックス)のアクシデントがなければ、僕らはさらにトップ5の成果を積み重ねていたかもしれない。あのクラッシュには本当に失望した」とエバースレー。
「99号車に壊されてしまったマシンの修復は痛手だけれど、次の7月末に“ホンダの裏庭”で行われるミド・オハイオでのレースを楽しみにしている」
RTRは、93号車の修復には約1カ月程度かかるだろうとの見通しを持っているが、そのちょうど1カ月後となる7月28~30日に、ホンダのパフォーマンス・マニュファクチャリング・センターにほど近いレキシントン、ミド・オハイオのコースで引き続き通常のGTラウンドとなる第7戦が開催される。