今週末、ドイツのザクセンリンクでMotoGP第9戦ドイツGPが開催される。全18戦で争われる2017年シーズンも今レースで折り返し点。ドイツGPが終わると、8月6日に開催される第10戦チェコGPまでサマーブレイクとなる。
ザクセンリンクは、旧東ドイツのケムニッツという町の近郊にあるサーキット。もともとは1960年代から1970年代にかけて公道レースの東ドイツGPとして開催されていた歴史を持ち、旧東ドイツ時代からレースの盛んな土地柄にあるコースだ。
現在のザクセンリンクがオープンしたのは1996年で、1998年以降はドイツGPのホストサーキットとして定着している。
ザクセンリンクは1周3.671kmとGP開催コースの中で最も全長の短いコースで、右4、左10のコーナーから構成されている。1周のアベレージスピードはMotoGPクラスで160km/h前後の中低速コースで、コース前半はテクニカルな中低速コーナーが連続し、コース後半は中高速コーナーというレイアウトを持つ。また、アップダウンが多く、抜き所が少ないことから、予選グリッドやスタートが決勝レースに向けて重要となる。
昨年のMotoGPクラスでは、マルク・マルケス(ホンダ)がポールポジションを獲得。マルケスはMotoGPクラスにステップアップした2013年から4年連続で、ザクセンリンクでポールを獲得した。
決勝はウエット路面でスタートしたものの、レース中盤からライン上がドライに変化。9番手付近を走っていたマルケスがこれを見て真っ先にスリックタイヤを履いたマシンにチェンジする。
マルケスはレインタイヤを履くトップ集団より4秒から7秒速いペースで猛追し、25周目にトップに浮上。そのまま20秒以上のリードを取って優勝を飾った。
マルケスは125、Moto2クラス時代を合わせるとザクセンリンクで7連勝を記録した。カル・クラッチロー(ホンダ)が入賞。アンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティ)が3位に入賞した。
Moto2クラスでは、中上 貴晶(カレックス)がポールポジションを獲得。中上はウエットとなった決勝でも6周目までレースをリードするが、7周目の2コーナーで転倒、再スタートは切れたものの、大きく遅れてしまう。
その後、アレックス・リンス(カレックス)、ジョナス・フォルガー(カレックス)、フランコ・モルビデリ(カレックス)がレースをリードするが、終盤にトップに立ったヨハン・ザルコ(カレックス)が優勝。リンス、モルビデリは転倒リタイアに終わり、フォルガーが2位、フリアン・シモン(スピードアップ)が3位に入賞。中上は再スタート後、追い上げて11位に入賞した。
前戦オランダGPで転倒ノーポイントに終わったマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)がランキングトップの座から後退、代わってアンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティ)がランキングトップに浮上した。
ドビジオーゾとビニャーレスのポイント差は4ポイント。ビニャーレスは、カタルーニャGPでの苦戦、オランダGPでの今季2度目のノーポイントレースが響く結果となった。
オランダGPで今シーズン初優勝を飾ったバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)はランキング3位に浮上、マルク・マルケス(ホンダ)はランキング上では4位に後退した。
しかし、トップからのポイント差はロッシが7ポイント、マルケスが11ポイントと僅差。シーズンの折り返し点を迎えて、チャンピオンシップ争いはランキング上位4名のライダーによる、ほぼイーブンの状態となった。
ダニ・ペドロサ(ホンダ)はランキング5位に後退。マルケスとの差は17ポイントに広がった。ヨハン・ザルコ(ヤマハ)はルーキートップ、インディペンデントチームトップのランキング6位をキープしているが、オランダGPでMotoGPクラス初ポールを獲得しながら、決勝では雨にかけてマシンを乗り換える作戦が失敗に終わり、上位陣とのポイント差が広がってしまった。
ザクセンリンクはマルケスが得意とするコース。マルケスはMotoGPクラスステップアップ後、ザクセンリンクは負け知らずで、ホンダのマシンとの相性もいい。
例年、天候が不安定なのもザクセンリンクの特徴だが、マルケスはどんなコンディションでも強さを発揮してきた。
マルケスを軸に、ビニャーレスが巻き返せるか、ロッシが波に乗るか、ドビジオーゾがスティディにランキングトップをキープするかに注目が集まる。