NHKは6月28日10時から、常時同時配信の負担のあり方に関するパブリックコメントの募集を開始した。
NHKは、2020年の東京オリンピックを控え、その前年の2019年から、NHKがテレビで放送する番組すべてを同時にネットでも配信する「常時同時配信」を検討している。今年2月からはNHK受信料制度等検討委員会で受信料の設定方法を話し合い、6月27日に答申案をまとめた。
PCを所持し配信サービスを利用する「何らかのアクション」をとった人が対象
現在、受信料は世帯ごとの負担となっており、一世帯にテレビが複数台あっても、料金は変わらない仕組みになっている。そのため、常時同時配信についても、番組を視聴するPCやスマホ等の端末を2台目・3台目のテレビと同様と見なし、追加の費用負担は求めないとしている。
答申案では、費用負担の公平性確保のため、テレビを持たず、常時同時配信のみを利用する視聴者へも費用負担を求めるとしている。その場合、PCの設置・所持だけでは対象にならず、「常時同時配信を利用するための何らかのアクションもしくは手続きをとり視聴可能な環境を作った者」「常時同時配信を利用する契約を結んだ者」を対象とする予定だ。
この「何らかのアクションもしくは手続き」が何を指すのか、NHKの広報担当者に問い合わせたが、
「検討委員会は第三者で、NHKとして正式に答申を受け取っている訳ではありません。具体的な中身や皆様に負担いただく金額などは、7月末に答申を受け取ってから調整していく予定で、決まったものは1つもありません」
とのコメントにとどまった。
韓国ではPCからの視聴は受信料徴収対象外
海外の公共放送機関には、既にネットとテレビの常時同時配信を行っているところも多い。例えばイギリスのBBCはBBC iPlayerというサイトから、テレビ、ラジオなどが視聴できる。BBCもNHKと同様世帯ごとの費用負担だが、同局サイトに
「使用機器の種類に関わらず、番組の視聴・録画や、iPlayerでの視聴・ダウンロードを行う場合は、受信料支払いの対象になります」
との記載がある通り、ネットの同時配信のみの利用でも受信料を払わなければならない。
イタリアのRAIのネット配信は無料で視聴できる。その代わり、テレビの受信料は世帯ごとに、電気料金と一緒に支払う仕組みになっている。
韓国のKBSはスマホでは見られずPCでのみ視聴可能だが、インターネット接続機器は受信料の対象となっていない。放送法でもインターネット向けサービスはKBSの業務範囲として明記されておらず、視聴者の費用負担は無い。
もちろん、各国の放送法が違うため単純な比較は出来ないが、先に導入している国の事例を元に、より公平な負担のあり方を模索していくべきだろう。パブリックコメントは7月11日の24時までNHKの専用メールホーム、または郵送(当日消印有効)で受け付けている。