元F1ドライバーのジャック・ビルヌーブは、アゼルバイジャンGPでセバスチャン・ベッテルが怒りのあまりルイス・ハミルトンに接触した出来事は、F1ドライバーにも感情があることを示したと語り、擁護している。
ビルヌーブは1997年ヨーロッパGP(ヘレス)でのタイトル決定戦の際、ミハエル・シューマッハとの接触に巻き込まれている。ビルヌーブはチャンピオンを獲得したが、フェラーリのドライバーだったシューマッハは、このシーズンのドライバーズ選手権2位を剥奪される結果となった。
ビルヌーブは、ベッテルの行為は当時の事故より危険ではないと主張する。
「状況がまったく違う。彼らは時速10マイル(約時速16キロ)で走っていたんだ。誰が気にするものか? もちろん醜い行為ではあったが、実際のところルイスは彼にブレーキテストをしかけていた」
「僕もドライバーだし、同じ立場だったことがある。僕にこんなことをしかけるドライバーがいたら、セブと同じことをしただろうね。新しいルールのもと、彼は最大のペナルティを受けたと思う」
FIAが調査に使用したテレメトリーデータによって、ハミルトンがベッテルにブレーキテストをしたという主張は退けられた。ビルヌーブは、ベッテルが怒りで身振りをした際、操作を誤ってハミルトンへ接触したとの見解を示す。
「彼がハミルトンに当てようとしていたとは思わない。ハンドルを片手で握りながらハミルトンを睨み、指をさしていた」
「あんなふうに片手でハンドルを切って当てたりしない。そんなことをすれば自分のマシンを壊すことになる。ぶつけるつもりなら、両手でハンドルを握るさ!」
「ある意味、ドライバーにも感情があることがわかって満足だよ。良いことだし、面白い。チャンピオンシップを争う2人のドライバーが互いに怒りをぶつけたが、結局のところダメージは何もなかった」
「何がそんなに問題なんだ? TVでそんな彼らが観れるなんて最高じゃないか。ルイスが(バルテリ・)ボッタスにベッテルを抑えるよう頼むより、ずっといい。あれは恥ずべきことだった」
ベッテルの行為を擁護した一方で、ビルヌーブはペナルティに対する一貫性を呼びかけた。
「ボッタスはキミ(・ライコネン)に接触した件でペナルティを受けなかった。しかし同時に、ルールはバトルやミスを許すべきだ。ペナルティがなかったことには満足しているが、それなら他のドライバーたちも同様に、ペナルティを受けるべきではない」
「レースをしていて、ひとりがミスを犯して相手に衝突した。しかしマシンを故意に寄せるような行為には、もっとペナルティが与えられることを望んでいる。めったに見ないことだが、それこそ大きな問題だ」
「モントリオールでは(ストフェル・)バンドーンがやっていたと思う。少なくとも(カルロス・)サインツJr.はペナルティを受けた。たまに極端な場面を目の当たりにするが、それにはペナルティが科されるべきだ」
「ボッタスがしたことは、単純に下手なドライビングだが、それがレースなんだ。ベッテルの行為は良いこととは言えないし、スポーツマンらしくないが、見られて良かった」