元アウディLMP1ドライバー、オリバー・ジャービスは、第85回ル・マン24時間耐久レースでトヨタとポルシェに起きたトラブルは、WEC世界耐久選手権のトップマニュファクチャラーが限界を超えた戦いをしていることの証しだと語った。
今年のル・マンでは、トヨタとポルシェが投入した5台のLMP1マシンすべてにメカニカルトラブルが発生。3台のトヨタTS050ハイブリッドのうち2台はレース半ばでリタイアしたほか、ポルシェ919ハイブリッドも1台がチェッカーを受けられなかった。
両チームとも、マシンフロントに搭載したハイブリッドシステムにトラブルが起きているが、それ以外にもトヨタにはクラッチトラブルが、ポルシェには油圧系の問題があった。
昨年までアウディのLMP1ドライバーを5年間務めたジャービスは、第85回大会にはジャッキー・チェンDCレーシングからLMP2クラスに参戦。チームの38号車オレカ07・ギブソンで総合2位を獲得している。
「LMP2マシンが表彰台を獲得するか、エンジニアと賭けをしていたんだけど、まさか自分たちがレースをリードするとは思わなかった」とジャービスは語った。
「テストデーの後、LMP1-Hがどこかの時点でトラブルを抱えるのは目に見えていた。でもあの週末に僕たちが目にしたのは、マニュファクチャラーが限界を超えて極限を目指しているところだった。それも最後にはあまり良い宣伝にはならなかったけどね」
ジャービスは今年のレースの内容から、LMP1クラスを維持し続けるのは難しい可能性があると考えている。今シーズン、ACOフランス西部自動車クラブはLMP1クラスのスピードを落とすためにレギュレーションを変更していた。
「ACOはマシンのスピードを抑えるためにルールを変えた。それにも関わらず今年はラップレコードが更新され、マシンはかつてないほど低燃費で、これまでよりも速く走るようになっている」とジャービスは付け加えた。
「しかし、その影響が信頼性に及んだのは確かだ。今のLMP1マシンは技術を盛り込みすぎているかもしれない」
「僕の意見では、このクラスを持続させていくなら、コスト面で何かしら手を打たなければならない」