2分の1成人式が小学校で定着しつつある。成人である20歳の半分、10歳を迎える小学4年生の時期に、親や家族への感謝を表明する行事だ。
こうした中、6月27日放送の情報番組「モーニングクロス」(東京MX)では、慶應義塾大学特任准教授の若新雄純氏が2分の1成人式への疑問を呈した。
10歳では、2分の1成人式の代わりに「大人への申し立て儀式」を提案
若新氏は、自身の学校生活でも親への感謝の手紙を書かされたことがあると振り返る。しかし、その時は「先生に言われたから仕方なく書く」というものだったそうで、「強要されて感謝の言葉を書くことに大きな意味があるのか」と疑問を述べていた。
そもそも、10歳という年齢自体は、「それまで大人たちの手の届くところですくすく育ってきたところから、親や先生への疑問を持ち始める」思春期の入り口として重要だと捉える。自分がどうしたいのか、どう思うのか考え始める頃であることから、2分の1成人式ではなく
「大人への申し立て儀式をやったほうがいい」
と提案した。スタジオからどういうことか問われると、
「思春期の反発みたいに暴言を吐いてしまうと、そこから親との関係が悪化しかねない。学校で、子どもから大人へ『あの言葉に納得いかない』などと疑問を伝えることを儀式化すれば、親も、子どもたちの言うことに耳を傾けるようになる」
と説明。聞いていた堀潤アナウンサーも、「感情を言葉に出来ない子たちに、そういうことを教えてあげる機会にもなるし、親たちも知る機会になる」と好意的に受け止めていた。
30歳で「こういう人間として生きていく」って言えるようになればいい
また、成人式については、「2分の3成人式」と命名して既に一部地域で始まっている「30歳成人式」を広めるべき、と自説を述べた。寿命が延び、働く目的も多様化する中、20歳という一つの数字で扱い方が変わるという制度は、現代の社会環境に合ってないと指摘する。
「たばこ、お酒、選挙など、社会人として半人前になるような資格の解禁は、世界標準に合わせ18歳でよいと思う。18歳で準成人。でも、18歳や20歳の時点でどんな生き方をするか言いきる必要はないと思う。30歳くらいで『こういう人間として生きていく』って言えるようになればいい」
20歳の成人式で同窓生と会っても、ただの同窓会になってしまう。しかし、一度働いて30歳を迎えてから集まると、議論ができる年齢にもなっているため、残りの人生をどう過ごすか、様々な立場の同窓生と意見交換ができると力説していた。
スタジオに同席していた起業家の正能茉優さんも、「20歳で集まった時は思い出話をちょっとしたくらいで、こういう風にしたいという意志が無かった。25歳の今の自分はあの時と比べて大人にもなったし、出来ることも増えた」と話し、成人年齢の引き上げに賛成していた。