6月19~25日、“雲へ向かうレース”と呼ばれる伝統のイベント『パイクスピーク・インターナショナルヒルクライム』がアメリカ・コロラド州で行われ、ロマン・デュマ操る2017ノルマMXX RDリミテッドがトップタイムで優勝した。
雄大なロッキー山脈にそびえる、パイクスピーク。標高4301mの山頂までの約20kmを一気に駆け上がることから、“雲へ向かうレース”の異名をもつ世界的なイベントだ。
ここ数年は“モンスター田嶋”こと田嶋伸博らが参戦するエレクトリック・モディファイドクラスが上位を席巻してきたが、田嶋は2017年大会を欠場。最大のライバルであるリース・ミレンも2輪部門へ転向している。
2016年と2014年にパイクスピークを制しているデュマは、自身3度目の大会制覇を目指し、ノルマとRDリミテッドとともにマシンを改良に着手。
2017年型のノルマMXX RDリミテッドは、2016年モデルから空力パッケージの見直しや、新たなミシュランタイヤへの適応に加え、さまざまなメカニカルアップデートが加えられた。
プラクティスや予選セッションで好感触を得たデュマは25日(日)、現地9時41分にアタックへ臨む。グリーンフラッグが振られると同時にデュマは全開アタックを開始。しかし、その直後にスパークプラグが複数個壊れるアクシデントに見舞われる。
マシンに不調を抱えながらも、デュマは9分5秒672でコースを走破。これは昨年、自身が記録した優勝タイムより15秒以上遅い結果だったが、総合2位を28秒以上引き離して優勝。3度目のパイクスピーク制覇を成し遂げた。
デュマは「優勝という言葉を受け入れるのは難しい気分だ」と心境を明かす。
「第1目標は勝利を手にすることだったし、それは簡単なことではない。ただ第2の目標はコースレコードを塗り替えることだったんだよ」
「プラクティス期間中はレコードを塗り替えられるという手応えも感じていたし、チーム全体にも、その意識があった」
「スパークプラグが壊れていなければ達成できたと思うから本当に残念だ。優勝はできたけど、僕たちはそれ以上のものを望んでいたから、完璧に満足できる1日とは言えないね」
総合2位はリアルタイム・レーシングがパイクスピークに向け専用モディファイを施したアキュラTLX-GTが獲得。改造無制限のオープン・クラスを制している。