モニシャ・カルテンボーン代表の解任で幕を開けた第8戦アゼルバイジャンGP。しかし、ザウバーを巡る噂はバクーのパドックでいまだに渦巻いている。それはザウバーがいまだにカルテンボーン代表の後任を発表していないからだ。
当初、後任にはかつてHRTやフォース・インディアのチーム代表を務めていたコリン・コレスが就くのではないかと言われていたが、ケータハム時代にエリクソンと仕事をした経験がある某イギリス人スタッフ(現在某チームに所属)によれば、「コレスが来るという話はない」らしい。
それでは、誰が後任を務めるのか。現在、噂されているのは昨年までマノーでレーシングディレクターを務めていたデイブ・ライアン、元ルノーのチーム代表のフレデリック・バスール、元マクラーレン・チームのCEOだったヨースト・カピートの3人だ。
ただ、カピートに関しては、6月に入ってから古巣フォルクスワーゲンへの復帰が伝えられているので、可能性はほぼないと見ていい。またバスールも現在はARTに復職しており、シーズン中の移籍は考えにくい。
そうなると、最も可能性が高いのがライアンだ。ただし、もしライアンが選任されると、2018年にパワーユニットを供給することになっているホンダとの関係が少しややこしくなる可能性がある。
なぜなら、ライアンが後任に選ばれた場合、そのバックで、ロン・デニスがライアンを操る可能性があるからだ。マクラーレンが2018年に向けてメルセデスにスイッチしようとしていることはもはや公然の秘密だ。
だが、それはホンダがF1から撤退しないことが条件である。なぜなら、メルセデスはホンダの撤退を望んでいないからだ。つまり、ザウバーへの供給はマクラーレンがメルセデスにスイッチするための最低条件なのである。
ところが、ライアンが選任され、デニスとともにロングボウ・ファイナンスに対して、「ホンダとの契約を見直したほうがいい」という事態になると、マクラーレンがメルセデスからPUを供給してもらうという話はご破算となる。
もうひとつ、2018年にPUをザウバーに供給することになっているホンダにとって気がかりなのは、カルテンボーンの解任がほかのスタッフの去就に影響を与えることである。
というのも、現在、ザウバーで技術者たちをまとめているテクニカルディレクターであるヨルグ・ザンダーはカルテンボーンが抜擢した人事で、ロングボウはこの人事にもメスを入れる可能性があるからだ。
すでにホンダはザウバーのスタッフと来年に向けた技術的なミーティングを開始しており、そのトップがザンダーなのである。そのザンダーがザウバーを離れるようなことになれば、ホンダとの関係も見直される可能性があるからだ。
果たして、カルテンボーンの後任はだれになるのか。それはザウバーだけでなく、マクラーレン、メルセデス、そしてホンダにとっても、目が離せない決定となりそうだ。