2017年からWRC世界ラリー選手権に復帰参戦しているTOYOTA GAZOO Racing WRT。チームが挑む次の戦いは、6月29~7月2日に行われる高速グラベル(未舗装)イベントの第8戦ポーランドだ。
ラリー・ポーランドは1921年に初開催された長い歴史をもつイベント。WRCには1973年の発足初年度に組み込まれると、その後はカレンダーに含まれず。2009年に2度目の開催を迎え、2014年からは毎年WRCに組み込まれている。
今大会最大の特徴は、シリーズ屈指の高速イベントであること。SSの平均速度はシリーズ最速のラリー・フィンランドに迫る。今季これまで行われてきたグラベルラリーとはキャラクターが異なるため、チームにとっては新たなチャレンジとなる。
ラリー・ポーランドのSSは緩やかなハイスピードコーナーが多く、アクセル全開区間が長い。その一方でコース脇には比較的、背の高い茂みが広がっており、これがドライバーの視界を制限する。
コーナーのクリッピングポイントが見えないことや、その内側には石や岩が潜む可能性もあり、場合によってはマシンにダメージを負う可能性もある。
路面コンディションは目の細かい砂状のグラベルで、全体的に軟らかめで平坦。この次に控えるラリー・フィンランドと共通している点が多いが、ポーランドのほうが道幅が狭く、大きなジャンピングスポットも少ない。
競技の中心となるのはポーランド北東部に位置するミコワイキ。29日(木)はミコワイキに設けられた全長2.5kmのスーパーSSでSS1が行われ、翌30日(金)から本格的な高速戦が幕を開ける。
今年は全23SSが設定され、走行距離は326.64km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1422.63kmだ。
トヨタはラリー・ポーランドに向け、エストニアでグラベルテストを実施。これまでと同様、3台のトヨタ・ヤリスWRCを投入する。
■「ヤリスWRCは空力性能高さが強み」とトミ・マキネン
「ポーランドは、これまでのラリーとは違う新たなる挑戦となり、興味深い戦いになる」と語るのは、チーム代表のトミ・マキネン。
「コースはフィンランドと似ている部分もあるが、ジャンプが少なく、路面が軟らかいのが特徴になる。我々のヤリスWRCは空力性能の高さが強みで、ハイスピードなポーランドの道は、クルマを鍛えるいい舞台となる」
「ここ数戦はクルマに大きな負担がかかるグラベルラリーが続いたが、ポーランドはそれほど苛酷ではないと思う。もっとも、実際にコースを走ってみないと分からないし、私はラリー・ポーランドに出たことがないので予想は難しいがね」
「選手は皆、どのように戦うべきかを十分に理解しているから、私は彼らが目標に向かって集中力を保てるようにサポートしていく」
前戦で総合2位を獲得したヤリ-マティ・ラトバラは「エストニアでは、ポーランドに向けた、とても良いテストができた。テストでは主にダンパーの改善を進めた結果、特にクルマの安定性の向上に手応えを感じたよ」とコメント。
チームメイトのユホ・ハンニネンは「我々のマシンは速度の低いラリーよりも、高いラリーのほうが合っていると思うから、ポーランドに関しては自信を持っている」と意気込みを語ったほか、エサペッカ・ラッピも「ポーランドの道は(イタリアとは)性質がまったく異なるから同じような結果が出せるかどうかわからないが、全力を尽くす」と語っている。