STCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権の第3戦が6月16~18日、スウェーデンの首都ストックホルム近郊にあるソルバラで開催され、クリストファーソン・モータースポーツのエースであり、WorldRX世界ラリークロス選手権にもレギュラー参戦するヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)が2連勝を達成。しかし最終レース3は、セアトに乗るライバル、ロバート・ダールグレンが一矢報いる勝利を挙げ、クリストファーソンの"パーフェクトゲーム"を阻止した。
参戦する19台全車が参加する予選のQ1、そしてトップ10通過のみのQ2、さらに3台の勝負となるQ3で、いずれもトップタイムをマークし好調さを見せつけたクリストファーソン。
しかし、Q1のアタックではニクラス・オスカーソン(キア・シードTCR)が最終コーナーでスピンしたことによって出されたイエロー中に最速タイムを更新したとの判断で、レース1のポールポジションが抹消。これでPWRレーシングのダニエル・ハグロフ(セアト・レオンTCR)が繰り上がりポールとなり、クリストファーソンは4番グリッドからのレースとなった。
しかし、今季初ポールで気がはやったか、ハグロフが痛恨のフライング。同じく3番グリッドに昇格していたKMSのフレデリック・エクブロム(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)もジャンプスタートを取られ、ともに3.5秒のストップ・アンド・ゴー・ペナルティを課されてしまう。
これで楽になったのがクリストファーソン。序盤ですでに2番手に上がっていたチームのエースは、ライバルのペナルティ消化までの間、ハグロフとサイド・バイ・サイドのバトルを披露。しかし、セアトがピットレーンに去ったあとは、後方ダールグレンの動向を見つつレースをマネジメントする余裕で、ソルバラのオープニングを制した。
2位ダールグレンに続き、3位表彰台を決めたのはホンダ・レーシング・スウェーデンのマティアス・アンダーソン(ホンダ・シビック・タイプR)で、4位にはKMSのフレデリック・ブロムステッドが入った。
Q2の結果から、続くレース2もポールポジションを獲得したクリストファーソンは、トラックのダーティサイドからのスタートとなったことからトラクションをうまくかけられず、1コーナーはフロントロウのダールグレンに奪われる展開に。しかし、ここで慌てない余裕を見せたクリストファーソンは、オープニングラップの最終コーナーでダールグレンのインサイドにダイブ。
ブレーキングしながらわずかにコンタクトしたゴルフとレオンは、結果的にアウト側にいたダールグレンのレオンがわずかにオフラインとなり、ゴルフが前へ。1周目最初の計時でもトップを守ったクリストファーソンが、そのまま1.5秒のリードを守ってフィニッシュ。2位ダールグレン、3位エクブロムと、選手権ポイントを争うトップランカーが表彰台を占めた。
そして迎えた最終レース。Q3のリザルトにより同じくフロントロウ対決となったクリストファーソンとダールグレンのライバル同士だが、このレースで前戦の反省を活かしたのはダールグレンの方だった。
またもダーティサイドでスタートに失敗したクリストファーソンは、ダールグレンに先行を許すと、同じ周回のターン3でレストラップ・レーシング、アルビン・ワルネロ(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)のマシンがストップ。
これでセーフティカー(SC)が導入され、先頭2台のバトルは仕切り直しに。リスタート後はレース2の教訓を活かし、極端にインサイドラインを取ったダールグレンが、クリストファーソンのマシンを完璧にブロック。
その後、レース中盤にも他車のコースオフで2度目のSCとなるものの、そこでもマージンを守りきったダールグレンが、最終ラップの最終コーナーでもドアをきっちりと閉め、0.7秒のギャップを持ってフィニッシュラインを通過。
「第2戦のフィンランドは本当に不調で、僕らはトラックではなく観客席に座っているようなものだった。そこから考え方を180度転換して、マシンのセットも戦い方もアジャストした。それが功を奏してうれしいよ」と、ダールグレンがこの週末の3レースで2位、2位、優勝の安定したリザルトをマーク。この結果、ダールグレンがクリストファーソンに対し19ポイントの差を維持して、選手権リーダーに躍り出た。
STCCの次戦は2週間後の7月7~9日の週末に、ファルケンベルグのトラックで開催され、このサーキットを得意とするダールグレンにとって優位な状況でのレースとなりそうだ。