ジネッタは、第85回ル・マン24時間耐久レースでLMP1クラスのワークス勢が数々のトラブルに見舞われたことは、第86回大会ではプライベートチームも優勝を狙う「絶好のチャンス」があることを示したと考えている。
1958年に創立された老舗スポーツカーメーカーのジネッタは2017年のLMP1レギュレーションに準拠したシャシーを製作し、2018年からマニュファクチャラーとしてLMP1クラスに参入する。
6月17~18日に決勝レースが行われた第85回ル・マン24時間では、トヨタとポルシェが投入した5台のLMP1マシン全車にトラブルが発生。大幅なタイムロスやリタイアを強いられた。また、唯一プライベーターとして参戦したバイコレスもレース序盤で姿を消している。
決勝レースでは、チェッカー残り1時間というところまで、LMP2クラスの38号車オレカ07・ギブソンが総合首位を走行したが、総合56番手から猛チャージした2号車ポルシェ919ハイブリッドがポジションを奪うと、そのまま逃げ切った。
この劇的な展開を受け、ジネッタのオーナーであるローレンス・トムリンソンは、2018年もワークス勢がトラブルを繰り返せば、実力あるプライベーターが勝利を掴むことになるだろうと語った。
「先週末のル・マンは、今がLMP1クラスにプライベーターとして参入する最適なタイミングだということをふたたび示した」とトムリンソン。
「なぜなら、速くて信頼性のあるマシンであれば総合優勝できる可能性があることが明確になったからだ。ここ数年ではなかったことだよ」
「これはワークスチームにとっては都合の悪いことだろう。しかし、LMP1クラスが以前よりも参入しやすく、手の届く存在になるという素晴らしいチャンスでもある」
「WEC世界耐久選手権には4台のLMP1-Hしかエントリーしておらず、ル・マンでも5台だった。だから、信頼性が鍵になるんだ」
「そして、今年はワークスチームはそれ(信頼性)を持ち合わせていなかった」
「ハイブリッドシステムを搭載したLMP1マシンは、技術的にとても高度なものだ。我々のマシンはシンプルで、ル・マンで必要になる信頼性が証明されている技術が盛り込まれている」
「トラブルなく、いいペースで走行できれば、ワークスチームでなくともレースで勝つチャンスがあることが証明された」
■ジネッタシャシーの開発は順調。「すでに100回以上CFDシミュレーションを行った」
ジネッタが開発を進めるプライベーター向けLMP1シャシーは、今冬にもコース上でのテストに臨む予定。
開発ではウイリアムズF1チームと密に連携を取っており、先週末には1/2スケールモデルを使用しての風洞実験が行われたほか、製作には精度の高いCFD(計算流体力学)も使用されている。
トムリンソンは11月に行う予定の走行テストまで、ウイリアムズF1の風洞で少なくとも4回の実験を行う予定を明かした。
「新型マシン開発では、ワークスチームとほとんど同じ行程で作業を進めている。我々のマシンは着実に進化しているよ」
「風洞実験から得た貴重な数値などを使って、すでに100回以上のCFDシミュレーションを走らせている」
「プロジェクトに携わっている人々も経験豊富な人材ばかりで、計画をスタートさせるタイミングも完璧だった」
「我々のマシンについて、マニュファクチャラーとも将来に向けた話もしている。今のところ、一般的な内容に留まっているがね」